内容説明
通り雨が過ぎて虹が出た昼休み、高校二年の百瀬太郎は同学年の美園玲と運命的に出会う。美少女なのにクラスメイトとどこか距離を置いているクールな玲に、なぜか百瀬はなつかれる。幼少期のトラウマで「嫌だ」と言えない性格も手伝って、百瀬は強引に文化祭の準備を手伝わされる羽目になり、「ある作戦」を実行するため奔走するうち、二人の気持ちは近づいていく。そんな時、逃れられない過酷な出来事が二人を襲う。感動、切なさ、悲哀、そして愛しさ…温かな涙が溢れる、究極の恋愛小説。
著者等紹介
青谷真未[アオヤマミ]
「鹿乃江さんの左手」で第二回ポプラ社小説新人賞・特別賞を受賞し、同作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
167
高2の美少女「玲」は文化祭の舞台で落語を披露とするのを、ちょっと冴えない「百瀬太郎」に手伝わせます。最初は乗り気じゃなかった「モモ」もだんだんと落語の世界にハマっていくことに。青春ピュア度全開の作品ですが、ただベタ甘だけではなく、感動や切なさ、悲哀そして何よりも愛しさがしっかりと伝わるステキな作品でした。当たり前のコトなんでしょうが、やっぱり出来るコトは出来るトキにしっかりとやっておかないとダメですよね。1日1日の過ごし方をしっかりと考え改めさせてくれる内容で、家族の温かさも伝わる素晴らしい作品でした。2018/09/17
夢追人009
165
リケ女ならぬラク女(落語女子)の勝気な美女・美園玲と「嫌だ」と言えない気弱な男子・モモこと百瀬太郎の高校生活のひと夏の恋を描いた青春ラブ・ストーリーの傑作。「やさしい死神」の題に昭和世代の私はそれを言うならキャンディーズの「やさしい悪魔」でしょうと思いましたが、まさか落語の話とは意外でしたね。「佃祭」「死神」と落語の中でも「死」を扱った演目や夏祭りの場面等の様々なヒントがちりばめられていて、とにかくいろんな場面が心に浮かんでしみじみと泣けました。「君膵」の号泣とは対照的な本書の静かな嗚咽も私は好きですね。2018/09/12
寂しがり屋の狼さん
127
感動、切なさ、悲哀、愛しさ…温かな涙が溢れる作品。以前、手違いでスマホのデータを消してしまいショックをうけたが…肌で感じた心地のよい風、壮大な景色は今も鮮明に覚えているし、これからも消えることは無いと思う。大切なものは記録ではなく記憶に留めていきたい。2021/04/10
名古屋ケムンパス
118
出会いの直後から別れの予感が漂い、落語の題材に生への願望がにじみ出る。幼少期のトラウマで否定の意思を表すことのできない主人公は美少女の行動力に押し流されて付随うが、やがて彼女への恋心を否定し得なくなる。でも彼女と一緒に過ごす至福の時は過酷な運命により限定付きだった。切なさと愛おしさに包まれながらエピローグを迎える感涙の恋愛小説だ。2018/10/31
のんき
102
高校二年の百瀬に雑用をやらせるみんなに、キッパリと言う人物登場。よくぞ言ってくれた、男らしい。彼氏にするなら絶対こういう人!って思いました。でも、実は女性、しかも美人の同学年の美園玲なんです。二人は文化祭で、「テロ作戦」を実行しようとします。人から頼まれて「ノー」と言えなかった百瀬が、玲と一緒に行動するうち変わっていきます。わたしは、ラストの百瀬太郎と妹の場面が好き!妹が買ったプレゼントは、泣かされたあ。家族みんな兄を心配して、見守っていてくれてたんだなあ。それが家族というものなんだなと気付かされました。2018/09/21
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