出版社内容情報
母親からの執拗な脅迫により実の祖父母を殺害。当初から取材にかかわる記者が、その背景にある闇を暴いた渾身のノンフィクション!
内容説明
2014年、埼玉県川口市で発生した凄惨な事件。少年はなぜ犯行に及んだのか?誰にも止めることはできなかったのか?事件を丹念に取材した記者がたどり着いた“真実”。この罪は、本当は誰のものなのか?少年犯罪の本質に深く切り込んだ渾身のノンフィクション。
目次
第1章 幼少期
第2章 祖父母殺害まで
第3章 祖父母殺害から逮捕まで
第4章 裁判
第5章 少年の手記
第6章 裁判後
第7章 事件が映し出したもの
第8章 貧困・虐待と少年犯罪
著者等紹介
山寺香[ヤマデラカオル]
1978年、山梨県生まれ。2003年、毎日新聞社入社。仙台支局、東京本社夕刊編集部、同生活報道部を経て、2014年4月からさいたま支局。犯罪被害者支援や自殺対策、貧困問題などに関心があり、取材してきた。1児の母(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
163
同じ境遇に追い込まれている子がいるだろう。だが、その子は祖父母を殺すのか?その子はこんな事件があったことも知らないだろう。その子をそこから救うのは誰?三つ子の魂百までもだ。どんな鬼畜な母親だとて、幼心に植え付けられたモノは消せないのが切ない。これは絶対に母親の罪だ!実行したこの少年は15年の刑期をどう過ごすのだろう。何のために生きるのかー幸せになるために生きるんだよ!その幸せを感じる心を育てて欲しい。今、居所不明の子らはこの年の瀬をどこでどうしているのだろう。私はただ祈ることしか出来ないのかー2017/12/29
ケイ
145
彼の母が、気持ちが悪くて仕方ない。社会が守らず、社会的価値観を教える人がそばにいなかった少年を、なぜ社会的に罰せられる?被害者家族への償いの気持ちを持てと言われたところで...、彼は被害者家族でもある。窃盗、虐待や暴力を繰り返しても、大した罪にならない有り得なさ。ノンフィクションとしての説得力のために、母にフォーカスした事件発生や裁判の過程について更に記述が欲しい。可哀想だと思うだけでは何も変わりはせず、彼らが泊まっていたラブホテルの人達と同じだ。読んで知った上で、個々が何ができるか考えていかなくては。2018/10/19
しいたけ
138
罪とは何だろう。虐待を受け続け、野宿をし、歳の離れた異父妹に与えるため牛乳を盗む居所不明児の少年。世間は彼を「誰も見ていない」。祖父母を殺したのは自分の為か。違うだろう。いつ彼を捨てていくかわからぬ母親、彼に自分は価値のない人間だと植えつけた母親のために殺したのだ。二人殺せば死刑もありうる。懲役15年は温情判決なのか。大きな闇を抱える彼に課せられた時間刑。彼の罪の一体何を掬えるのだろう。医療少年院の方が彼には苦しく、それゆえ有効だったはずだ。彼の手記に衝撃を受ける。書ききれない思い。どうか読んで欲しい。2017/12/02
s-kozy
123
2014年に起きた強盗殺人事件。被害者は70代の老夫婦。逮捕されたのは孫の17歳の少年だった。少年はなぜ犯行に及んだのか?この事件の背景を詳述するノンフィクション。少年の育ちは過酷だ。母と義父からの虐待、果ては居所不明児童となる。少年は加害者であるが、被害者。現代日本にあるこの現実、多くの人に知ってほしい。読友のしいたけさんの感想から手に取った本。読むことができて、よかった。感謝の意を表するとともに多くの方に本書を読んでもらいたく、しいたけさんと同じ言葉でこの感想を締めくくりたい。「どうか読んで欲しい。」2017/12/27
ユザキ部長
114
誰もボクを見ていないと言うけれど、実は色々な場面で人は見ていた。ただ見る側の我々には「大丈夫かい?」と一歩進んで声をかける勇気に欠けていた。いずれにせよ愛着対象の母親によって幼少期から理不尽な暴力や無視罵倒などの心理的虐待を受けると、子どもは母親を嫌うことが出来ない為に自分が悪いと自己否定するしかなくなる。どんどん孤立していく様がわかったのならば、次世代の子達を見ていかなければならない。2018/07/28
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