出版社内容情報
寺地 はるな[テラチハルナ]
内容説明
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、ひょんなことから雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店だった…。人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心にしみる物語。
著者等紹介
寺地はるな[テラチハルナ]
1977年佐賀県生まれ。会社勤めと主婦業のかたわら、小説を書き始める。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
246
『この庭に棺桶を埋めることは、忘れ去ることとは違う』そう、庭に埋めたからといってそれらが消え去ったりはしない。自分を持てない人だった・妙、色んなことが上手くいかないことを全て他人のせいにして、終わらせてしまっていた妙。誰かに認めて欲しい、優しい言葉で受け入れて欲しいと求めるだけだったのが、他の誰か、大切にしたいと心から思える身近な誰かのことを大切に受け入れて、心から励ましてあげられる。そんな人へ、そんな人になれる予感の確かな芽生え。妙の成長を通じて、些細だけどハッとする気付きをたくさんもらえた作品でした。2021/09/17
しんたろー
198
『大人は泣かないと思っていた』が良かったのでデビュー作を読んでみた……まだ手馴れていない感じで初々しく、会話や展開がぎこちなく空回りしている感もあるが、言葉選びのセンスが良い点や読み易い文章を書いているのが、その後の活躍に繋がったのだろう。主人公が自分に対してネガティブ思考なので終盤までは共感し辛いが、段々と成長してゆく姿には微笑ましく応援できた。周囲の人々が素敵な人が多いのもホッコリとさせる(特に父親と伯父さんがgood!)。強烈な個性がある訳ではないが、ほのぼのとした少女漫画を読んだ気分に浸れた。2019/03/12
❁かな❁
164
とっても素敵な作品♡アンソロジーでしか読めてなかった寺地さんのデビュー作。4年間お付き合いした相手に突然婚約破棄された妙。ひょんなことから棺桶も扱う雑貨屋『ビオレタ』で働くことに…。個性的な菫さんのもとお仕事しながら恋をしたり、色んな人の想いにも触れ、少しずつ少しずつ癒されていく*とても穏やかで優しい千歳さんの日常の何気ない言動に、じーんとして涙ぐんでしまう。「どうってことないよ」と言われたくなる。お父さん、お母さんとの会話に親や娘の両方の気持ちになり感涙*文庫化にあたりサイドストーリー『夢の種』掲載。2017/07/15
エドワード
128
突然の婚約破棄に道端で泣いてしまった妙を、強引に引っ張って来た女性、菫。妙は菫の雑貨店・ビオレタで働くことになる。思い出の品を入れる棺桶などを売る風変わりな店。ぶっきらぼうな菫と、愛想のいいボタン屋の男性、千歳。二人が元夫婦と知って驚く妙。どこか昭和のテレビドラマのような設定だ。二人の息子の蓮太郎、妙の両親、個性的でいい人ばかりに囲まれて、妙の日々が緩やかに流れる。敬語とタメ口が交じる会話がいいアクセントになっている。人は哀しいこと、辛いことも笑顔に変えて生きていく。イスリロン?言葉遊びの数々が楽しい。2020/08/01
しいたけ
127
「ビオレタ」の意味を初めて知る。棺桶なる箱に客の埋葬したいものを入れ庭に埋める雑貨屋「ビオレタ」。結婚をキャンセルされてしまった妙ちゃんは、道端で泣いているところを子犬のように拾われビオレタで働き始める。お客さんの持ってくる「行き場のない思い」は、彼女の器を緩やかに大きくしていく。庭を綺麗にすることを拒む、己の罪に頑なな菫さんの心をほぐしていく。そして私の大好きな千歳さん。この男を妙ちゃんみたいな若い小娘に渡してなるものか。私こそ、千歳さんの庭になりたい。コツコツと植えた小花で、いつか彼を覆い尽くしたい。2017/10/23




