内容説明
お化けは「怖い」。そうしたイメージは、いつから生まれたのか。『牡丹燈籠』や『雨月物語』。タイの昔話に、西洋恋愛怪談の『レノーレ』。乱歩が見出した幻の書『情史類略』…。怪談の起源を探る中で見えてきたのは、実は人間とお化けは仲良くなれるし、恋だってできるという、衝撃の価値観だった―。この本を読めば、あなたも「あの世」に行きたくなるかも?
目次
お化け愛の始まり―日本に登場した新しい怪談
馮夢龍と「解放の怪談」
怖い怪談の呪縛―日本の場合
お化けとの恋愛が認められるまで
日本に広がった「牡丹燈記」
町人文学の大暴れ―『牡丹燈籠』から『聊斎志異』へ
怪談愛の至高点『雨月物語』
アジアへヨーロッパへ―『メー・ナーク』と『レノーレ』
西洋でも、生死を越えた恋が成就した!
圓朝版『牡丹燈籠』と文章変革
駒下駄の音と新しい演出
霊との共同生活、ついに実現!
著者等紹介
荒俣宏[アラマタヒロシ]
作家。博物学者。1947年東京生まれ。武蔵野美術大学客員教授・サイバー大学客員教授。『帝都物語』がベストセラーとなり、日本SF大賞受賞。『世界大博物辞典』でサントリー学芸賞受賞。神秘学・博物学・風水等多分野にわたり精力的に執筆活動を続け、著書・訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
主に中国と日本の怪談の変遷を論じた一冊であるが、裏のテーマは冥界と人間界の交歓。中国の知られざる志怪小説から仏教説話を経て、『剪灯新話』中の「牡丹燈記」がどのようにして日本に受容されていったかを記している。兎に角著者の怪談と幽冥界への愛が溢れていて、どこを読んでも魅了されんばかり。牡丹燈記から牡丹灯篭への受容と変遷は割と有名で今まで何度も読んで知ってはいたが、これと志怪小説、『雨月物語』中の「浅茅が宿」と立て続けに紹介されると、怪談には幽明を隔ててなお尽きない愛を描いたものが多数あるなと感じられた。2017/10/31
スノーマン
21
『お化け』があらゆる角度から論じられてる貴重な本。女十悪説とか酷いな〜と思いつつ、いや案外女の本質ってこんなんかも?と思わせる‥(笑)濃厚な原液みたいなこの一冊、私には難しくて興味のあるところだけ拾い読みとなりました。そういえば私の小学生の頃には学校に一人は怪談話の上手い教師がいて、キャンプの肝試し前には本領発揮とばかりに皆をビビらせたものだった(笑)耳を塞ぎながらもやっぱり聞いてみたくなってしまうんだもんね〜。お化け話は魅力的。2017/10/07
ばんだねいっぺい
19
怪異と純愛。折りがあれば、千葉県市川市の手児奈霊堂へもぜひ、足を運びたい。2017/08/04
やんも
17
久々アリャマタ先生に、手首をがっしとつかまれて知の冒険へと引きずり込まれた気分。『怪談牡丹灯籠』の原点である志怪小説『剪燈夜話』が、なぜ書かれるに至ったかの解説を始め、人(主に男性)と幽霊(主に女性)の恋愛をテーマにした物語が、中国から日本にわたり、さらに文明開化を迎えて、いかにして大長編『怪談牡丹灯籠』へと変じたかを解説する1冊。つくづく、時代的に男目線な話だなぁ、などと思っていたが、ふがいない男たちが命を懸ける覚悟もできずに美女の幽霊に懸想して自滅する姿を見て、溜飲を下げた女性たちもいるのだろうか?2017/07/18
いぼいのしし
14
お化けと荒俣さんが好きなので読んだ。『牡丹燈籠』をメインに怪談話がその国の文化に合わせて進化していった歴史を紐解く。お化けだけではなく当時の思想もわかっておもしろかった。2019/10/15