出版社内容情報
永井 するみ[ナガイスルミ]
内容説明
高校生の三浦凪の好きなものは、カカオ80%のビターチョコレートとミステリー。苦手なことは群れることと甘えること。夏休みのある日、クラスメイトの雪絵が、書き置きを残して姿を消した。頼まれてネットの閲覧履歴をたどるうちに、真面目で大人しい印象だった彼女の意外な行動がわかり始めて―。事件を通し、様々な人と関わるうちに変わってゆく凪の姿がさわやかに描かれた、ガーリッシュ・ハードボイルド・ミステリー!
著者等紹介
永井するみ[ナガイスルミ]
1961年、東京生まれ。東京藝術大学音楽学部を中退後、北海道大学農学部農業生物学科を卒業。1996年、『隣人』で小説推理新人賞、『枯れ蔵』で新潮ミステリー倶楽部賞を連続受賞しデビュー。2010年、49歳にて死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
132
『なぜ、メールも電話も通じないのか』という混乱した状況の中『雪絵にとって、リアルは私だけだった』と必死に友人の姿を探す中では、様々な状況から『投げ出してしまいたくなる』と落ち込んでしまうこともあった凪。そんな凪が探偵の如く自らの危険も顧みず、雪絵を見つけ出すことに一途に奔走する姿が描かれていくこの作品。『女探偵ものを一回書いてみたかったんです』と熱意を持って取り組まれた永井さんが、人の内面の心の機微を巧みに描いた”ガールズ・ハードボイルド”なこの作品。カカオ80%の苦味が癖になりそうな、そんな作品でした。2021/10/13
七色一味
42
読破。〈ガールズ・ハードボイルド〉の傑作ということで、惹かれて購入しました。単行本のレビューなども読んでみましたが、割りと好感多し。表紙のイラストも、主人公の真っ直ぐな意思を感じさせて良いです。が、どうも読んでいてインパクトに欠ける印象。イマドキ(と言うにはちょっと古いか)娘っぽい輪郭のはっきりしない影のような感じ。作品のテイスト的に、主人公としてはもう少しキャラに個性持たせるとかしないと、埋没しちゃいそう。☆読後感は悪くないので、次巻も読んでみたい。ただ、作者さんはもうお亡くなりになられてるので…。2016/07/23
ユメ
34
主人公は、カカオ80%のチョコレートとミステリが好きな高校生の三浦凪。〈ガーリッシュ・ハードボイルド・ミステリ〉という惹句が気になってこの本を手に取ったのだが、女子高生とハードボイルドという異色の組み合わせが不思議なほどしっくりきていた。それはひとつには、群れるのを嫌い、高校生にして行きつけのバーを持つような凪のキャラクターによるもので、もうひとつには、今の少女たちが生きる現実はこれぐらいハードなのだろうと思わされたことによる。孤独だった凪が、仲間と呼べる存在を見つけていくのが爽快だった。2017/06/21
ちくわ
25
テンポの良い爽やかな青春かつハードボイルド小説。夏休みに書き置きを残して、いなくなった同級生を語り手の三浦凪が捜索するというような話。人と関わるのが煩わしく一人の方が気楽だと考える凪が、捜索する過程で様々な人と出合い、自分で閉ざした世界が少しずつ開いていくような気持ちのいい作品でした。ミステリと凪の成長物語が上手くマッチした作品。2016/12/13
るぴん
20
三浦凪、17才。恋に仕事に忙しい母と2人暮らし。カカオ80%のチョコレートが好物。群れたりせず、孤独でいる自分を少し気に入っている。そんな凪が夏休みに失踪したクラスメイトを探す、ガールズ・ハードボイルド。とても面白かった!今時で都会的だけど、完全には大人になりきれていない凪のキャラがいい。時に危険な目に会い、時に人に助けられ、徐々に他人との関わりを学んでいく凪。失踪した雪絵の目的もなかなかわからず、ミステリー的にも楽しめた。9月発売の続編も楽しみ♫つくづく永井するみさんの早逝が惜しまれる。2016/08/15
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