出版社内容情報
31歳、実家暮らしで未婚の桃子のもとに、ある日、「一家の癌」だと思っている弟の健太から連絡が入る。それは意外な内容だった……。
内容説明
31歳の桃子は実家暮らしで未婚。自分の中で培ってきたルールを厳格に守り、家族や勤めている会社の人間にも一切スキを見せることなく暮らしている。「ある秘密」をのぞいては…。現代女性の生き方を繊細な筆致で描き、高い評価を得てきた著者による、新しい家族小説。
著者等紹介
飛鳥井千砂[アスカイチサ]
1979年生まれ。愛知県出身。2005年『はるがいったら』で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
164
★★★★☆17009 作品内に「全然いいよ!という言葉はおかしいだろー」とあったのでおかしい言葉調査!一般には全然+否定。や、ら抜き!「食べられる or 食べれる」他に「とんでもございません」は間違いとか「すいません は すみません」「自信なさげ は 自信なげ ,自信なさそう」意味の誤認識なら爆笑,失笑.にやける,煮詰まる等キリがないねー。でも、言葉って人同士が情報伝達するために人が作った便利な道具なわけでしょ?多数の方が、その事柄を正確,的確に共通に理解してもらえるなら、それがスタンダードでしょ!2017/01/29
☆ゆう☆
92
自分のものさしでしか物事を見られない主人公の桃子。常識って何だろうと考えさせられる内容だった。自分のしている過ちは正当化するが、家族のそれは許せない。いつだって自分が正しくて自分が普通なのだ。他人の欠点や失敗ばかりが目につき、長所や成功にはまるで気づけない。家族のことになると特に。なんだか自分をみているようで身につまる。雅美が言うように、あなたはそれが好きなのね、と笑って聞いてあげられるくらいの寛大な心をもてたら良いのだけど。まさか自分が「我が家の癌」だったとは。桃子はこれからどこへゆくのだろう。2016/11/16
takaC
81
単行本の書名にはカタカナは付いていなかったのに何故文庫にはそれを付けたのだろうか。しかも肝腎な-edを読み省くとはなんたる暴挙。untitledなのは主人公のすごく嫌な女(桃子)のことなのにぼやけちゃうじゃん。2017/04/19
わか
65
本屋でみかけて衝動買いです。31歳の桃子。未婚で実家暮らしです。読んでて息苦しくなりました。桃子があんまりにもそつがなくて完璧主義なんだもん。全てが完璧なんだけれども、唯一完璧じゃないのは不倫をしていること。でもその不倫でさえ、ルールをきっちり守っています。自分が完璧ゆえに、父親の仕事、母親のお金の使い道、弟の彼女のだらしなさが許せないんですね。ラストがこんな終わり方なんだ!ってびっくりしました。桃子の苛立ちには共感できませんでした。痛かったです。2015/11/09
dr2006
63
真面目で厳格な行動原理、自身があるべきだと信じる態度や考えを人に圧しつける。商社で働く桃子は父母と実家暮らしの31歳独身女性だ。弟が2年半ぶりに彼女の雅美を連れて帰省した。家族と初対面の雅美の振る舞いは、桃子のあるべき姿とは大きくかけ離れていた。それから桃子は、愚行を繰り返す弟、汚れた母、不実の父を知り落胆する。一方で雅美の柔軟な生き方はやがて桃子に何かを与える。「桃子、あなたは誰なの?名前じゃなくどんな存在として生きているの?答えられる?」桃子は人を許し受け入れる事の大切さを知る。豊潤な家族小説だった。2019/12/10