出版社内容情報
聖地奪還のため、“天啓”を受けた少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。彼らの行く手を阻むものは、果たして――。
内容説明
13世紀フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻む―。直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。
著者等紹介
皆川博子[ミナガワヒロコ]
1930年生まれ。73年「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞。ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説など幅広く創作活動を続けている。『壁・旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞、『恋紅』で第95回直木賞、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を受賞。『開かせていただき光栄です』で、第12回本格ミステリ大賞を受賞。2012年、ミステリー文学の発展に寄与した功績が認められ、第16回日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
351
「あとがき」によれば、少年十字軍という構想は、皆川博子さんが作家デビューする以前から持っていたものを、実に40数年後に小説という形に結実させたものであるらしい。物語は基本的には史実に基づいている。すなわち、無残な失敗に終わった第4次十字軍の後、神の啓示を受けた少年エティエンヌのもとに参集した少年少女たちが襤褸のごとき姿でエルサレムを目指したというもの。解説の三浦しをんさんは「なんと芳醇な物語」と絶賛を惜しまないが、残念ながら皆川流の濃密な文体と過剰な意味の氾濫はここにはない。文体はあたかも⇒2017/10/04
ehirano1
90
解説はかの三浦しおんさん!ちょっとベタ褒めなんじゃないかと思いましたが、「神は常にヒトを試す。気ままに、理不尽に。ひとの生き死にも、誠実も愛も信頼も、あらゆる貴い動機も、全て無化するような圧倒的に残酷な力。“運命”とも言い換えられる、無情の何か」の解説は流石だと思いました。2020/02/08
ehirano1
86
『大いなる虚無を充たすものに、ただ、ひざまずいていた。この先も続くであろう殺戮、不条理、混沌、それら全てを融合したものに向かって、私は両手を広げた。受諾する、と。受諾はするが、戦う、と。夜が、肯いた(p367)』。この“夜が、肯いた”にはシビレマシタ。流石としか言いようがありません。2021/12/05
勇波
81
元々子供向けに書かれた物語だったのか大変読みやすく、相変わらず引き込まれる内容でした。見当違いの感想になるかもしれませが、崇高な宗教的大義名分を掲げても、人間同士の争いなんて低俗なものなんですな。(冒頭ルーの登場はデルフィニア戦記のリィを思い出しました)短くまとまった物語だった為、登場人物に感情移入する間も無く終わっちやいましたが、物語のクオリティはあいも変わらず高いものがありますぞ★2017/10/14
コットン
78
エルサレムへ少年達の十字軍としての旅の始まりから聖職者なども交えた物語。五十年ほど前の児童劇団の脚本用に書かれた作品だそうで、子供たちの個性が際立って描き分けられている作品。2024/10/01
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