出版社内容情報
話題沸騰の映画を、監督自らが小説化。誰からも愛される好人物・福ちゃんと周囲の人々との交流を描く人情喜劇の傑作。
内容説明
故人の笑いじわをたどり、できるだけ生前の表情に戻す。そうすることで、残された人は死を受け容れ、また生きていく力にできるから―。どんなに損傷の激しいご遺体も復元してきた女性納棺師が、これまでに経験した忘れ得ぬエピソードを綴る、感涙のノンフィクション。
目次
第1章 かけがえのない瞬間だからこそ
第2章 肉体が滅びるということ
第3章 見送りの現場で
第4章 天使たち
第5章 最後の言葉
第6章 あの日。3・11
第7章 復元ボランティア
第8章 支えられて
著者等紹介
笹原留似子[ササハラルイコ]
1972年、北海道札幌市生まれ。復元納棺師として株式会社「桜」の代表を務める。東日本大震災では、発生後まもなく沿岸地域に入り、津波や火災で損傷を受けた遺体を生前の姿に戻す「復元ボランティア」に献身した。現在は納棺のかたわら、被災者支援の活動や、子どもたちに命の大切さを伝える講演活動を行っている。2012年、社会に喜びや感動を与えた市民に贈られる「シチズン・オブ・ザ・イヤー」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rico
85
著者の笹原さんは納棺師。あの震災の際に現地に入り、ボランティアで多くの方の旅立ちのお手伝いをされた方。読メで知って以来ずっと気になってた。冒頭に掲載されている、犠牲になった方々の復元後の姿をうつしとったたやさしい絵と想いの溢れる言葉。最初の「高い、高~い」のエピソード。すでに涙があふれてくる。変わり果てたご遺体をケアし生前のおもかげを取り戻すのは、壮絶な厳しいお仕事。それでも旅立つ人との最後の大切な時間のために、ご遺体と向かい合う笹原さん。その想いはお見送りをする人たちに確かに届いている。2022/03/13
Pure
33
さらりとしたタッチで淡々と数々のエピソードを連ねるショートショート。その淡々とした様が、逆にその場の重さを表しているような文章。ご本人が書いたスケッチが優しく涙を誘います。泣くために復元する。泣いて死を受け入れるために復元する。どんなに腐敗し痛んだご遺体も尊重し復元に挑む。ただひたすら頭が下がります。もし遺族であったならば、どんなにかありがたいことか。愛する家族と対面してお別れすることの大切さがひしひしと伝わります。2016/03/08
hope
23
【震災を忘れない】 著者は北上市で活動される納棺師。ご遺体を生前のように復元し、ご遺族と共にお見送りする。『エンジェルフライト』や映画の『おくりびと』で、その職業の尊さも過酷さも知っていた…つもりだった。 本書の後半からの“震災”で直面する現実に、震えた。仮安置所の中学校の体育館で大勢の亡きがらにまざって、ぽつんと置かれた小さな女の子の変わり果てた姿に、彼女は無力さを思い知る。身元不明のため法律の壁によって、手を出すことが許されなかった。→2021/02/15
山根
21
映画「おくりびと」で知られるようになった納棺師。著者で納棺師の笹原さんの体験談は、人の死を経験したことがある人には涙無しには読めないと思います。特に東日本大震災のエピソードは涙、涙でした…。2015/01/16
みるく
15
3.11を明日に控え、6年目でやっと震災関連の本を読むことが出来た。内陸に住む自身でさえあの日を思い出す映像や文章は苦しすぎて避けてきた。でもいつまでも目を背けるだけではいけないとずっと思っていた。最初から最後まで涙が止まらなかった。でも読了後、前向きな気持ちになっていた自分に気がつく。死を正面から考える一冊。震災を風化させたくないから、沢山のひとに読んで欲しいし、もし今生きることに辛さを感じている人がいたら読んで欲しい。2017/03/10