出版社内容情報
担任に納得のいかない絵を描かされ、ユクは傷つく。憧れの少女に励まされつつ、ユクは自分自身を発見していく。爽やかな物語!!
内容説明
「絵は、きみが感じたことをひとにつたえるためのことばだ。ほんとうにつたえたいことだけ描けばいい」写生の時間、なっとくのいかない絵を描かされたユク。傷ついたユクは、その絵をひきさいてしまう。しかし、花が大好きな少女ハネズからはげまされ、しだいに絵を描くことの意味、喜びを理解していく。そして、絵を描くことをとおして、ユクには大切な友だちがふえていく―
著者等紹介
西村すぐり[ニシムラスグリ]
1956年、広島県に生まれる。関西女子美術短期大学(現・宝塚造形芸術大学)卒業。第10回アンデルセンのメルヘン大賞・大賞、第28回JOMO童話賞・最優秀賞、第5回北日本児童文学賞・優秀賞など多くの受賞歴を持つ。作品に、第1回ポプラズッコケ文学賞・奨励賞を受賞した『ぼくがバイオリンを弾く理由』(ポプラ社)など
大野八生[オオノヤヨイ]
千葉県に生まれる。子どもの頃から、園芸好きの祖父とともに植物に親しむ。造園会社などの仕事を経て、現在イラストレーター、造園家として活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
62
考えすぎて口に出せない男の子ユク。 「思っている事は口に出さないと伝わらない」という事は、けっこう大人になってから気付きました。思えば私も二十歳過ぎごろまでは口下手だった。絵を描くのが大の苦手だったので、絵を描ける人は無条件に偉いと思うので、ユク君には絵の才能があって良かったです。石丸先生も口下手なのでしょう。決して意地悪な先生ではなく真面目な良い先生だと思いました。帰りがけの先生にユク君から言葉がけをしたのにホッとしました。2016/01/25
はる
45
あまり期待しないで読みましたが、なかなか。好きな感じです。絵を描くのが上手だけれど、内気で自分の考えを言葉に出来ない少年ユク。彼のちょっぴり成長する姿を爽やかに描いています。同級生の女の子、ハネズとのふんわりとした恋のやり取りが微笑ましくていいですね。ただ、花や木が物語の鍵となるので、もう少しリアルなタッチの挿絵のほうがイメージしやすかったように思います。2015/10/12
ゆか
38
娘の感想文用に借りてはみたものの、娘には、合わないかな?私も、最初名前がカタカナなのでなかなか頭に入りづらかったのですが、よみすすむうちに気にならなくなってきました。面白く読めました。言いたいことがなかなか上手く言えずに、納得いかない絵をかかされ、破ってしまうユク。そこから誤解をとくまでのお話。石丸先生はいじめられていると思って、親を呼び出したりしているけど、無関心な先生よりいいと思うし、最後に何とかわかろうとする姿勢は、いい先生だと思う。2015/07/13
chiaki
34
伝えたい気持ちを上手く言葉にすることが出来ない口べたのユク。絵を得意とするユクだが、担任の先生の間違ったアドバイスによって、自信を失い、絵を破り捨ててしまう。そんな写生の時間がきっかけで出会った植物好きのハネズの存在に支えられながら、そして、自分の気持ちをわかってくれる人が他にもいることを知ってから、次第に自信を取り戻してゆき、絵筆をとることで伝えられないもどかしい想いや言葉を絵に乗せていく…。言葉が他人を傷つける怖さや情けなさを知るユクは優しいんだろうなぁ。私は、担任の先生にちょっと同情してしまう。2020/11/08
びすけっと
30
2014年10月刊。図書館出会い本。描き方や色を担任に否定されたユク。そう、絵などの表現の指導って難しいし、表現した子が意図を言葉では言い表せないことが多いので、ユクと担任の溝は深いだろうと感じました。口べたユクを助けたハネズ。ユクと同様、感性豊かな子だなあと思いました。このような子たちに育てるにはどうすれば良いのだろう。さまざまなことをともに体験し、経験を語ることかな。画家をあきらめ、理容師になったユクの父がそうしているように。 この歳になって初めて知ったことがひとつ。水彩絵の具には二種類あること。2015/11/16
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