出版社内容情報
人間関係が極度に苦手で、10年以上ひきこもっていたM君。生活保護を受け、自立への一歩を踏み出していくまでのドキュメント。
内容説明
この「生きづらさ」の正体とは?コミュニケーションが極度に苦手で、ずっといじめられてきたM君。大学卒業後に就職した職場でもバイト先でも、どこへ行っても浮き上がり、ついには人前に出られなくなる。実家に一〇年以上もひきこもった後、「変わりたい」と一念発起。被災地へのボランティア、東京での一人暮らし、生活保護受給を経て、就労への一歩を踏み出していく。現代社会の「生きづらさ」に迫るドキュメント。
目次
第1章 M君との出会い
第2章 社会からの離脱
第3章 ひきこもる日々
第4章 被災地でボランティア
第5章 アパートまでの長い道
第6章 生活保護
第7章 入院、そして再スタート
著者等紹介
池上正樹[イケガミマサキ]
1962年生まれ。大学卒業後、通信社勤務を経て、フリーに。1997年から日本の「ひきこもり」現象を追いかけ始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
32
45歳のM君の「ひきこもり」までの歩みと「自立すること」を目指して奮闘する3年間を追いかけたルポ。人に慣れるためにボランティアにチャレンジし東京で一人暮らし、生活保護を受けて自立するプロセス。ひきこもり=恥の構造から、家族が社会に発信しない姿の見えない「ひきこもり」が多いこと、苦しんでいる「一人」を救済することは、その人だけでなく家族や周囲をも幸福にすることにつながっていく。目の前の「一人」を大切にすることなど、ひきこもりという現実に対して正しい認識を持つことが必要だと感じた。2014/06/02
カッパ
20
私は何よりここまでの見守る姿勢をもつのかと支援者の人たちの様子に感動した。私だったらこんなに逃げてしまう。依存してくる。ほのめかしてくるひとを見守り続けることはできないからだ。でもそれくらいのパワーが必要なのだと思う。やはりなかなか大変だ。2018/05/22
ヨータン
13
M君のような40代でのひきこもり、結構いるんだろうな〜。年をとればとる程、解決の道は険しいので、自分の子供が10代、20代でひきこもりになったら、放置したり、逃げないで、早め早めにあらゆる対策を試みることが、大事だなと思いました。40代のひきこもりからの脱出は厳し過ぎます。2014/10/04
きょん
8
M君のように性格と環境と運がすべて食い違うのは本当に生きづらいと思う。とはいえ、自分も状況次第で適応障害になる可能性は十分あると思う。どうにか現状を打破しようとあがき、生活保護受給に至る。ここまででもM君の精神はクタクタなのだろう。生きづらさを感じている人に寄り添おうとする人もいる。こういう人たちを排除せず受容していく、緩やかな社会を目指さなければ。2016/01/29
ちさと
6
自分でも制御できない心のバランス、人とのコミュニケーションの難しさ。病気なのか、持って生まれた障害なのか。何が問題で何を乗り越えればいいのか。自分で分からない状態は他者からの理解も得難く、孤立し傷つきひきこもってしまう。本書によれば、30-50代のひきこもりは何十万人もいるらしい。本当に助けを必要としている人たちへの福祉の充実、情報の拡散が必要だと感じた。