出版社内容情報
旅立ったキツネの思い出話をみんなでするうち、悲しみはやがて変化し……。いてくれたらあったかい。いなくなってもあったかい。
内容説明
もりにすむひとりひとりにとって、キツネはとくべつでした。やがてキツネはたびだち、みんなにとってのとくべつなそんざいになったのです。いてくれたらあったかい。いなくなってもあったかい。キツネはここにいます。ずっと。
著者等紹介
テッケントラップ,ブリッタ[テッケントラップ,ブリッタ] [Teckentrup,Britta]
ドイツ・ハンブルグ生まれ。ロンドンのセントマーティンズ・カレッジ・オブ・アート、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶ。夫と息子とベルリンで暮らしている
森山京[モリヤマミヤコ]
東京都生まれ。『こりすが五ひき』で講談社児童文学新人賞佳作に入選。『きいろいばけつ』ほかの「きつねのこシリーズ」で路傍の石幼少年文学賞を、『あしたもよかった』で小学館文学賞を、『まねやのオイラ旅ねこ道中』で野間児童文芸賞を、『パンやのくまちゃん』でひろすけ童話賞を、『ハナと寺子屋のなかまたち』で赤い鳥文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
129
とても良かった。「死」から始まる物語だけど、こんなに温かな気持ちになるなんて。絵の色合いがまた素敵。オレンジ色に惹かれました。じーんと心に響く一冊でした。2021/11/18
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
87
森の動物たちから慕われていたキツネ。冬のある日、キツネはお気に入りの場所から森の風景を眺めた後、からだをそっと横たえて、まぶたを閉じ、ゆっくりと息を吐きました。キツネの目が二度と開くことはありませんでした。悲しみに沈む森の仲間たちはキツネの思い出を話し始めます。すると、キツネが眠っている辺りからオレンジ色の芽が出てきました。まるで思い出を栄養にするかのように、その芽はみるみる大きくなって……。ドイツ生まれのやさしいグリーフケアの絵本。子どもと一緒に読みたい。2013年9月初版。2015/12/23
モリー
66
心があたたまる素敵な絵本です。小さな子供に読み聞かせしながら一緒に楽しまれたらいかがでしょうか。昨今の日本社会においては「直葬」や「延命治療」という現象に象徴されるように、「死」は忌み嫌われ、遠ざけられています。この絵本を読むと、死を静かに受け入れることの気高さや、故人との思い出を大切に胸にとどめ置くことの温もりを感じます。(深読みしすぎかもしれません。)蛇足ですが、私と私の娘は自分の死後、樹木葬にしてほしいという点で意見が一致しています。私の思い描く樹木葬の理想のイメージと、絵本の一場面が重なりました。2019/11/19
anne@灯れ松明の火
62
読友さんご紹介。予約。まずタイトルに、そして訳が森山京さんであることにも惹かれた。いきなり主人公であるキツネの死から始まる。でも、仲間たちが思い出を語る中で、キツネは生き生きと動き回る。やがて……。一生懸命生きたからこそ、キツネは死後も命を得た。死から始まるけれど、実は生をこそ描いた作品だった。こういう話だと、柔らかい、優しい絵を描きそうだが、デザイン的な絵が描かれている。かえって、いいのかな。原題「The Memory Tree」」を「いのちの木」と訳した森山さん、素晴らしい。2019/12/14
yomineko@ヴィタリにゃん
53
年老いた狐が雪の中に身を横たえる。二度と目を覚ます事はない。狐の事が大好きだった友人達が傍に寄って来て、みんなで思い出を語り合う。すると、地面から芽が出て来て、森一番の大きな木に育った🌳この木を見つつ、みんなは狐の事を一生涯忘れない。2024/04/14