内容説明
大学を卒業した私は、田舎に戻り、「ひとをきれいにする仕事」を選んだ。けれども、お客は思うように来ず、家では妹との溝がなかなか埋まらない―いま注目の著者が、迷いながらも、一歩ずつ進んでいく若い女性を描いた、温かく軽やかな物語。書き下ろし番外編を収録。
著者等紹介
宮下奈都[ミヤシタナツ]
1967年、福井県生まれ。2004年「静かな雨」で文學界新人賞佳作に入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三代目 びあだいまおう
278
色々考えながらもいつもニュートラルな感性を持つ結乃は『人を綺麗にする仕事』の新人。ずっと彼女の一人称で描かれ、私は彼女を好きになった。お化粧って女性にとって大切な魔法。メロディフェアの素敵な歌詞をベースに『貴女は貴女のままで、とても素敵な女性よ!』と囁いてくれるような作品!きっと大切な事こそ、きっと困難に思える事こそ、実はとてもシンプルなことなんだと思う。自分ではどうにもできないことに悩むより、たとえ些末でも『自分にできること』にフォーカスしようよ!女性が今よりもっと自分を好きになれるすてきな作品‼️🙇2019/12/17
SJW
186
大学を卒業して福井の実家に戻り、モールの化粧品カウンターで美容部員を務める結乃は、お客が増えず、妹との溝も埋まらず悩む日が続く。また小学校の時の友達に久々に再会して、徐々に変わり始める結乃。美容部員のお仕事小説で、若い女性が悩みながら成長する姿に応援したくなってしまう。化粧のことは知らなかったが、この小説でそんなにも深くて魔法のようであることを改めて感じた。またチアダンのドラマで聞いていた福井弁が出て来て懐かしかった。2018/12/04
Shinji
116
お仕事小説。それも男にとっちゃなかなか分かんない世界。服とかアクセサリーを選ぶのとは全く違うよね。結乃、ミズキ、珠美がそれぞれ化粧に対する想いが違ったように私も化粧ってのは女性にとって鎧の様なものかな?と思っていましたけど、その逆で自分に覆いかぶさったものや殻を脱ぐためのものなんですね。勉強になりました! 番外編の「若葉のころ」がリアルに爽やかな気分になれましたよ。 その昔、専門学校の発表の舞台に上がる時に(ほぼ女装の)化粧をした事があって、「あっ、結構イケてる♪」と思った事はナイショです(//∇//)\2016/10/17
ゴンゾウ@新潮部
107
自分の仕事に、妹や母とのわだかまりに悩んだり自信が持てない女の子の内面がとてもよく描かれている。そんなに大きな事件は起こらないが普段の職場や家庭での出来事に敏感に揺れ動く多感な年頃。落ち込んだり、喜んだり。そんなことを繰り返して行くうちに自信をつけていく。些細なことで悩んでいた遠い昔の自分を懐かしく思ってしまった。2016/12/24
mocha
105
主人公はショッピングモールの化粧品店で働く美容部員。売り上げは伸びないし厄介なお客も来るけれど、口角を上げてにこやかに。メイクは女性に魔法をかける。凹んだ気持ちをちょっとだけ上向きにしたり、戦闘モードにもなれれば、少女気分にもなれる。メイクはちゃちゃっと5分の私だけれど、春の新色を買いに行きたくなった。2018/03/05