内容説明
三ばんめのランプをわったとき、巳之助はなぜかなみだがうかんできて、もうランプにねらいをさだめることができなかった。自分の意志ではうごかすことのできない運命に耐えて生きる人間を描いた「おじいさんのランプ」と、大きな愛にじゅんじて命をなげだす「巨男の話」など人間の生の崇高さを描く四編を収録。
著者等紹介
新美南吉[ニイミナンキチ]
1913年、愛知県に生まれる。本名・新美正八。半田中学のころより文学に興味をもち、文芸誌「オリオン」をだす。童話雑誌「赤い鳥」(1932年1月号)に「ごんぎつね」が掲載され、この年、東京外国語学校英文科に入学。1936年、卒業して貿易会社に勤めたが、喀血のため帰郷。代用教員を経て安城高等女学校教諭となる。1942年、腎臓悪化の中で数々の代表作を一気に完成。1943年、死去
高橋和枝[タカハシカズエ]
神奈川県に生まれる。東京学芸大学教育学部美術科卒業。ステーショナリーメーカーでデザイナーとして活躍後、フリーのイラストレーターになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めしいらず
40
「おじいさんのランプ」懸命に打ち込み軌道に乗った生業が、抗えぬ時代の流れに淘汰される。時流に翻弄され、行き場のない悔しさに唇を噛みしめつつも、やがて受け入れ、新たに道を見つけ出す。悲しさ、悔しさを知る度に、人は土深く根を下ろし、些事に動じない強さを得る。「川」片時も頭から離れてくれない自責の念に苛まれ、徐々に疲弊し、感情は希薄になり、日々が覚束なくなる。悲しみ抜いた後に、ほんの些事からでも喜びを見出せることを知り、目の前の曇りが晴れる。少年の繊細な心の移ろい、その迫真の筆致。ラストの回想の何と美しいこと。2014/01/07
おはなし会 芽ぶっく
9
『一枚のはがき』(5巻収録)を読んでみたくて借りに行ったら、全巻かりてしまいました。表紙絵は高橋和枝さん。『 おじいさんのランプ / 和太郎さんと牛 / 川 / 巨男の話 』 2020/08/04
きゅー
1
『おじいさんのランプ』潔いおじいさんがカッコイイ。辛かっただろうけど、前に進んでいこうとする姿はいいなと思った。 『巨男の話』なんだかグリムチックで、お、好きな系統かも、と思っていたのだけれど…うーん、やっぱ切ない方に行ったなあ~。残されたお姫様は、「本当は白鳥のままずっと巨男の肩に乗っていたかった」って…これもやはり、すれ違う善意みたいなものなんだろうか。2014/10/02
よっちん
0
図書館2019/02/19