きみはいい子

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きみはいい子

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  • サイズ B6判/ページ数 318p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784591129388
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ある雨の日の夕方、ある同じ町を舞台に、誰かのたったひとことや、ほんの少しの思いやりが生むかもしれない光を描き出した連作短篇集

内容説明

夕方五時までは家に帰らせてもらえないこども。娘に手を上げてしまう母親。求めていた、たったひとつのもの―。それぞれの家にそれぞれの事情がある。それでもみんなこの町で、いろんなものを抱えて生きている。心を揺さぶる感動作。

著者等紹介

中脇初枝[ナカワキハツエ]
1974年、徳島県生まれ、高知県育ち。高知県立中村高等学校在学中に、小説『魚のように』で第二回坊っちゃん文学賞を受賞してデビュー。1996年、筑波大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優愛

618
知ってるよ。君は悪い子なんかじゃないってことを僕は知ってる。君はいい子。だからそんな風に静かに隅で涙を流すんでしょう。心を押し殺して気づかれぬよう叫ぶんでしょう。止まない反響しては消えない助けての声が聞こえる。信じて。その小さな叫びを掬い取ってくれる存在は、その一筋の涙を拭ってくれる存在はきっと君の側にあるから。君は何にも悪くない。優しさは時に仇となるけれど憎しみに染まらないでいて。私が保証する、そのままの君でいいんだから。唯一無二の愛しい命を宿した君の存在がどうか大切な人の中で生き続けていけますように。2015/02/25

にいにい

563
初中脇初枝さん。五篇の虐待に絡む作品群。一つの町で起こる重く、切ない話の連続。しかし、どの話も、誰かが誰かにちょっとした幸せをあげている、それが、その子・人を助ける。自分にも良い所があると自己受容出来る。現実は、もっとひどいこともあるのだろうけど、この作品は、希望を見せて、読者に後を任せる。中脇さんの優しさを感じる。自分を認める大切さを伝えるメッセージを。人と付き合う際、手元に置いておきたい一冊。みんなに思ってほしい「わたしは、いい子」って。2015/01/19

風眠

557
静かな文章で、やさしい雰囲気の表現が多いけれど、痛みと緊張と悲しみの川が物語の根底をザーザー流れている。暗闇の中、声をあげずに泣いている子ども。我が子に手をあげてしまう親の苦しみ。そんな嵐の夜に、助けが必要な人の為にドアを叩いてくれる人がいてほしい。ひとつの町を舞台に語られる物語は、現実にいくつもある町となんら変わりない、どこにでもある風景だ。虐待という重いテーマを扱っているのに、何となくじんわりと温かい気持ちになるのは、誇張しすぎない文章表現のせいか、それとも物語それ自体が持つ「救い」のせいなのか。2012/11/12

めろんラブ 

533
家庭という檻の中でひしめき合う家族という群れ。群れには序列があり、上位の者は独善的な掟を振りかざす。暴力が日常の中にある暮らしと小さな命が健やかに成育する環境に接点は見出し難い。そんな自明の理を、理性を凌駕する感情が飲み込んでいく・・・。重いテーマながら、優しく瑞々しい筆致に助けられて読了。声高ではないが故、幼き恐れと悲しみがよりひそやかに胸を突く。慎重に閉じ込めておいた記憶が暴れ出しそうになった向きもおられるのではと思わせる、迫真の人物・心理描写が白眉。端的で本質的なタイトルも◎。2013/05/17

青乃108号

444
児童虐待をテーマに掲げた短編集、5話収録。思った程、陰惨な話ではなかった。虐待を受けて育った子供は自分の子供にも虐待をするようになる、という法則に乗っ取った話もあるが、どの話も最後に仄かな救いが描かれて印象は悪くない。5話が全て同じ町での話であり、登場人物が別の話にリンクしてくるのは良くあるパターンで、またこれか、と思った事はあったけれど、その点を除けば全体的に各話とも読みやすく良い話であり、十分及第点をつけられる良い本だった。特に最後の「うばすて山」が印象に残った。読み終えて改めて本のタイトルが切ない。2024/09/13

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