出版社内容情報
再び風早の街に降りてきたやまんばの娘・由布と、歩き方を忘れた少年・景。古い洋館「海馬亭」を舞台に、現在と過去が響きあう再会の
内容説明
人間が大好きで、再び山から降りてきたやまんばの娘・由布が、ちょっと訳ありな風早の街の住人たちとの切なくも心温まる日々を綴った三通の手紙。その十七年後、とある事情から冬休みをこの街で過ごすことになった少年・景が出会う。幻想のような不思議の数々…。風早の古い洋館「海馬亭」を舞台に、過去と現在ふたつの物語が優しく響き合い、美しい奇跡の扉が開く―。著者の初期傑作が長い時を経て、ここに完結。
著者等紹介
村山早紀[ムラヤマサキ]
1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
132
海馬亭通信の完結編。1巻と同じ様に3つの書簡と17年後の話で「眠れる街のオルゴール」(後編)で構成されている。村山さんのいつもの街「風早」にある海馬亭という下宿屋に住む人たちとやまんばの娘・由布の切なく心温まるファンタジー。疲れた心を大人の童話で癒すのに最適。2019/05/31
財布にジャック
66
表紙も可愛いし、中身も心温まるストーリーで優しい気持ちになれるお話ばかりでした。風早の街には、いろいろな不思議が沢山詰まっていて、次はどんな人物が主役の設定のお話なのかといちいち驚いてしまいました。短編で読みやすいし、お手紙形式なのも新鮮です。コンビニたそがれ堂には及ばないものの、風早ファンなら押さえておかなくてはと思わせるシリーズでした。2013/09/28
美登利
52
山の神の娘、由布の手紙で綴られる海馬亭での出来事のお話し。私は、おばあ様の平安の代の話が好きです。姿形は由布に似てるけど、話し方が違います。魔法を使うことがあっても、天気を変えることは絶対にしてはいけない。どこかに歪みが出るから。それはまさに今の時代を象徴していますよね。魔法でなくても、自然を破壊すること、または科学の力で地球を変えようとしてしまうこと。それが様々な悪影響を及ぼし始めているような感じがしました。童話の世界の御伽噺のように素敵だけれども、現代に警鐘を鳴らしてる気がしてなりません。2014/04/11
七色一味
51
読破。再び山から風早の街に降りてきた女の子が書いた3通の手紙と、『海馬亭通信1』の文庫版に収録されている書下しの後編を収録。1の単行本が1994年、文庫化に伴い「17年後」を合わせて書き下ろし追加したとすると、10年近く間が置いたことになるけれど、千鶴たちが暮らす風早の街の雰囲気は、まるで変わっていない感じ。村山早紀さんの中で、しっかりと風早の街が息づき、人々が生活しているんだなぁ。2013/09/11
masa
49
あぁ素晴らしかった。涙がポロポロと零れる。風早の古い洋館『海馬亭』を舞台にした切なくも心温まる物語。再び山から風早の街にきた、由希の日々を綴った三通の手紙と、十七年後に風早の街で過ごすことになった景の物語が優しく響き合い、繋がっていくー。古き良き時代が香り染み渡る。人ではないものたち、不思議なものが居る風早で、様々な想いを胸に抱き、時を刻むものたちが居る。その時の流れは決して同じではなくー。誰かと関わりを持つこと、想い愛することは繋がることだ。自分も誰かの一部になっている。読後、優しい余韻が胸に広がる。2015/07/05