内容説明
バイクの修理代ほしさに高校生たちがネコを誘拐すべく奮闘する「誘拐者たち」、少女の一途な感情が思いがけない展開を呼ぶ「うす紫の午後」など、“仁木兄妹もの”と並んで人気の高い著者の“子どももの”から、書籍初収録作「やさしい少女たち」「影は死んでいた」を含む七編を厳選。ユーモラスでありながらほのかにダーク、忘れがたい余韻を残す子どもたちの探偵簿。
著者等紹介
仁木悦子[ニキエツコ]
1928年東京都生まれ。4歳で胸椎カリエスと診断されて、歩行不能の生活を送る。20代半ばから執筆を始め、57年『猫は知っていた』で第3回江戸川乱歩賞を受賞。81年『赤い猫』で第34回日本推理作家協会賞短編賞を受賞。爽やかな読後感の作風で人気を博し、本格派女流推理作家の先駆けとなる。86年逝去。大井三重子名義で童話も発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たか
48
若竹七海さんが、小学生の頃に出会った仁木悦子さんの本。この本のおかげで、ミステリ読みになり、それが高じてミステリ作家になったそうだ。 そんな若竹七海さんが編んだ、子どもたちが探偵の短編集。 仁木悦子さんは、元々童話作家だったこともあり、子どもの描き方がとても上手い。 仄かに『毒』があるのは、今の若竹七海さんに通じるものがあるが、そこまで暗さはなく、読後感も悪くない。 個人的には、二転三転したあとのダークさが堪らない『うす紫の午後』がお気に入り。B-評価2022/09/19
よっしー
29
タイトルが気になり、手に取りました。子ともがお話の中心になっているのですが、中々に重暗い話が多かったですね…。表紙絵のイメージやタイトルから想像していた内容とは全然違っていたのですが、楽しく…というより感心しながら読みました。2024/01/25
Yu。
26
猫が元で事件に巻き込まれていく少年を救う鍵は猫にある「一匹や二匹」。容姿に劣等感を抱く者同士だからこそ成り立つ皮肉劇「うす紫の午後」。猫絡みで過ちを犯す二人の少年がひょんなことから探偵役に早変わり「誘拐者たち」。まるでホラーだね‥本の怨み節的なオチにゾッとする「倉の中の実験」。身内の汚名をそそぐ為いざっ!!「花は夜散る」「影は死んでいた」。優しい顔して毒を刺す「やさしい少女たち」といった若竹七海 編 七つの仁木ワールド。さすがどれもが面白い‥ なかでも着地の黒さがたまらない「うす紫の午後」は特に痺れます。2018/05/14
coco夏ko10角
23
子どもが主役の7つのお話収録の短編集。子ども故の無邪気なところや残酷さが見えるものも。『うす紫の午後』が特によかった。2017/08/18
のほほん@灯れ松明の火
22
とってもブラックでした! タイトルから学園ものの短編集かなぁ?くらいの感じで読み始めて、2話目の「うす紫の午後」でガツンとやられました。全編 確かに主人公はみんな子供たちですけど、だからこその真っ直ぐな残酷さみたいなものが、とても怖かったです。 最後の「影は死んでいた」は、本格的な謎解きがあって、おもしろかったです。 仁木悦子さんのお話は、ずいぶん昔のものなのに、全く色褪せた感じがありません。この本も とても新鮮でした。2011/09/12