内容説明
ちょうちょうなんなん(喋々喃々)=男女が楽しげに小声で語り合うさま。東京・谷中でアンティークきもの店を営む栞。ある日店に父親に似た声をした男性客が訪れる―少しずつふくらむ恋心や家族との葛藤が、季節の移ろいやおいしいものの描写を交え丁寧に描かれる。
著者等紹介
小川糸[オガワイト]
1973年生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
227
『春一郎さんに会えない時間は、いくら伸ばしても永遠に切れないゴムみたいで、やたらと長く感じる』。東京の下町・谷中で『アンティークきもの』を取り扱う『ひめまつ屋』を営む主人公の栞。この作品では、店の客として偶然に出会った木ノ下に思いを深めていく栞の一年が描かれていました。日本を感じさせる季節の描写に酔わせてくれるこの作品。谷中の情緒豊かな街並みと美味しい食の風景にも酔わされるこの作品。“古き良き時代”を感じさせてくれる物語の中に、あくまで美しい世界観を紡いでいく小川糸さんの魔法のような筆致に酔う作品でした。2023/11/09
射手座の天使あきちゃん
212
流石は小川さん 鴨せいろ、鳥鍋、すき焼き等々 栞(しおり)と春一郎が、そして栞とイッセイさんが食べ歩く料理の美味しそうなこと、もうダメお腹ペコペコですぅ!(笑) アンティーク着物ショップを営み自身も着物を愛用する控えめな栞とキリンのような「のんびり」癒し系の春一郎さんの切ないような、じれったいような恋 でもこの二人が不倫関係である必要あるんですか? そんな隠し味要りませんよぉ~小川さ~ん! <(^_^;2013/04/21
SJW
188
谷中でアンティーク着物の小さな店を営む栞。店に訪れた父の声に似た男性との距離が徐々に近くなり恋心が膨らんでいく。男性の家族の事と今後の二人の事が気になり、すっきりとした読後感ではなかった。谷根千の季節のうつろい、その雰囲気や様々なお店が手に取るように描かれており、これを読んだだけで住んでいるような錯覚に陥る。高校時代は通学路だったので描かれている場所を思い出しながら、懐かしく読めたのは良かった。ただ、当時は予算的にここに出てくるようなお店には縁がなく今から思うと残念。ここに出てくる喫茶店の隣の(続く)2019/05/30
にいにい
188
小川糸さんは、やはり、美味しそうに食べ物、飲み物を表現するなぁ〜。加えて、谷中の情景や祭、隠れ家的な施設、植物、動物も満載で、幻想的な暖かい物語が進む。人物もいい。特に、イッセイさん、まどかさんは、様々な経験・苦労に裏打ちされた素晴しい年齢の重ね方だ。ほんのりとした雰囲気の独特な文が洗練されている。春一郎の心情が表現されておらず、栞の健気さに比べ、卑怯な感もあるのが惜しい。栞の幻想が春一郎としてまとめても良かったかな。不倫を扱ったことに賛否がありそう。谷中に行って情景と美味しいものを堪能したくなる一冊。2014/12/04
❁かな❁
174
とても切なくて後半50ページ程ずっと涙が止まりませんでした。小川糸さんの作品を読むのは5作目。小川糸さんのどの作品にも通じそうですが四季の移り変わりやお料理など丁寧に描かれて素敵*好きになってはいけない人を自然に好きになってしまい、相手のことを思い、気持ちを抑える気持ちもわかりますし、でもどうすることもできない気持ちもわかり、栞の気持ちになり苦しく切なくなりました。惹かれ合い少しずつ距離が近づいていく春一郎と栞。いけない恋だけど本当に大人の純愛。「生きている者同士が出会えただけで奇跡」とてもお気に入り♡2016/12/09
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