内容説明
絵画や音楽、映画、文字を通して他人への思いを伝えること―それが芸術の大きな役割。人と人が仲良くする知恵でもある。世界を舞台に活躍する日本画家が、芸術についてやさしく語る。
目次
第1章 美とは何か(美は豊かさの象徴―「美」を漢字から読み解く;「美しい」と「きれい」のちがい ほか)
第2章 出会い(生命の記憶;出発点は自由な絵 ほか)
第3章 学びから知る(混沌の中から生まれるもの;美は乱調にあり ほか)
第4章 序列をつける(秩序を与える;悩まない生き方 ほか)
第5章 混沌から生まれる美(リアルに感じること;人間はなまけもの ほか)
第6章 芸術とは何か(仲良くやる知恵としての芸術;聞く心と信じる心 ほか)
著者等紹介
千住博[センジュヒロシ]
1958年、東京都生まれ。1982年、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業。1987年、東京藝術大学大学院博士課程修了。1993年に東京からニューヨークに拠点を移し、個展、グループ展などで精力的に作品を発表。1995年、ヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門名誉賞を、東洋人として初めて受賞。2002年、大徳寺聚光院別院襖絵完成。2006年、フィラデルフィア松風荘襖絵完成。2010年、東京国際空港(羽田空港)の拡張工事に伴い国際ターミナルのアートプロデュースを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yoshie S
7
こども向けのものを大人にも読みやすく再編した一冊。 きれい=整頓、など芸術というと何だか特殊なものに感じるが、身近な物事の概念が柔らかく平易に書かれている。 芸術とは仲良くするための知恵だとも。 日本画についてなど言葉は知っているけれどその中身は何も知らないなと思うことがたくさん。 それとアートには人柄が現れるということにも納得。その道の人はそのことで自分を表現できる、と。それが出来ない凡人は歯がゆいなぁ。 金沢の氏の展示も見に行きたい。2018/06/06
かりん
4
4:易しい言葉で芸術を解く。P56の自転車のエピソードがステキ。AKBが売れる理由もわかる。■目に見えないものを描く。与えられた仕事を「いやだなあ」と思いながらタラタラやる人で、世の中に出た人はだれもいません。この風景を描くために今日まで生きてきた。秩序ある混沌。個性…自分の正直さで自然に。五分あったら五分の文章が書ける。他の領域の人が認める。どんなに描けなくてもアトリエにいる。悩みだしたらおしまい。どこに自分がひかれているかを知る。2011/02/27
ぷーたろう
3
再読。何度でも読み返す1冊。本書は、日本画家の千住博さんが「芸術とは何か」中高生向けにわかりやすく語ったものを大人向けに再編集したものです。以下引用…「芸術というのはコミュニケーションであり、なんとかして自分の思いを伝えたいという心の表れです。だとしたら、芸術に感動するというのは、そのなんとかして伝えたいとする心意気に対する感動なのではないでしょうか」「芸術とは人々が仲良くやる知恵」2023/06/07
tomosun
1
・・・芸術とは、自分の気持ちをなんとかして伝えようとすること。みなさんはどう思われますかと問いかけ、そして仲良くやろうとすることなのです。芸術とは仲良くやる知恵のことなのです。p.1652015/10/16
nizimasu
1
直島の家プロジェクトで見た作品が忘れられずに本を手に取る。確かにわかりやすく美術に書いているが、そこから得られる言葉の意味の広がりが、奥深さに繋がる。味わい深い文章というべきか。2011/04/13