内容説明
父さんは刑務所、母さんはあたしと弟のバーニーをひいおばあちゃんの家にあずけて、どこかに行ってしまった…。不安な日々をひたむきに生きる11歳のエンジェル。その心の支えは夜空に輝く星たちだった。せつなくて思わず涙がこぼれる、ハートウォーミングストーリー。
著者等紹介
パターソン,キャサリン[パターソン,キャサリン][Paterson,Katherine]
1932年、中国生まれのアメリカ人。57年から3年間、宣教師として日本に滞在した。78年『テラビシアにかける橋』、81年『海は知っていた』で、二度のニューベリー賞を受賞。98年には“子どもの本のノーベル賞”といわれる国際アンデルセン賞を受賞。2010年から“子どもの本の米国大使”を務めている
岡本浜江[オカモトハマエ]
1932年、東京生まれ。東京女子大学文学部卒業後、共同通信社記者を経て、英米文学翻訳家に。修道士カドフェル・シリーズなど大人向け作品のほか、キャサリン・パターソンの作品、アン・ファインの『ミセス・ダウト』など140冊あまりの訳書がある。2003年、日本児童文芸家協会より第42回児童文化功労賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
(C17H26O4)
65
子供が子供らしくいられない。役割を放棄した大人たちの代わりを必死でつとめるエンジェルの姿はあまりに不憫でやりきれない。わずか11歳の少女の心の拠り所は星空だ。広大な夜空に比べたら、自分は小さな星くず(stuff)ほどもない存在だということに恐怖を感じ、自分がダイヤモンドのようにまたたく星と同じ要素(stuff)からできた同類だという秘密を知り、心を震わす。彼女は星々にどれだけ救われたことだろう。辛い現実にもかかわらず、人を信じて愛を失わずに前を見つめ、北極星のようにあろうとする少女に深く考えさせられる。2018/11/13
はる
62
主人公の11歳の女の子があまりに健気で泣けてくる。酷い両親、幼く我儘な弟、老いた祖母…。辛く耐える日々。それでも家族を思いやり、仲良く暮らすことが出来るように頑張っている。そんな彼女を唯一癒してくれるのが空に輝く星々たち…。彼女がついに感情を爆発させてしまう場面は涙を禁じえない。幸せになって欲しいと願いながらページを繰りました。彼女の懸命な姿に胸を打たれます。2018/10/28
ぶんこ
43
エンジェル11歳の健気さ、真面目さ、誠実さにうたれました。父は刑務所、母は我儘な弟バーニーを可愛がりエンジェルには与えるよりは求めるばかり。こんな環境で、こんなに良い子でいられるのは本当に素晴らしい。どんな親でも求める子。すごいなぁ。ひいおばあちゃんが少しずつ人間らしくなってきたのも嬉しかった。エンジェルの心が折れそうな時に(星のおじさん)レイがいてくれたこと、星が見守ってくれたこと、図書館の存在、本の力にも気づかされました。2018/12/20
emi
42
パパは刑務所、ママは育児放棄気味、弟のバーニーは7歳のきかんぼう。主人公のエンジェルは11歳だけど、子供でいられない。ある日ママは私たちをひいおばあちゃんの家に預けてどこかへ行ってしまった…。ヘビーな設定で、切ないけれど不思議と暗い気持ちにならないのは、彼女の澄んだ心と必死なまでの健気さと心の支えにしている夜空の星のおかげ。倒れないように踏ん張る彼女が泣いて子供に戻り、私の感じた責任は大人の果たすものだと悟る姿と、夜空に煌めく北極星が重なった。夜空の星に願いをこめて祈る姿を私はただ見守るしかできなかった。2015/07/07
まきこ.M
40
星一つ一つは宇宙の塵。自分自身が燃えて輝かせ、その美しさに星座の名前をつけ、神話にまで創りあげるのは人の想像力。宇宙や星達に対する神聖な、遠いけれど懐かしいと想うわたしちも元々は空気にただよう何かの物体の欠片でしかないからかもしれない。悲しく重い設定の中に強く希望を信じる意思が北極星の凛とした光と共にある。天への想いへのひたむきさ。あなたの元にもどんな時に見えなくてもいつでも希望の星はすぐそばにあるんだ。星をまく人になれたらいい。2016/01/24
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