百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 143p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121887
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

「東京に行きさえすれば、どんな目的でも達せられる」―生活の糧を求め、故郷を離れて都会へ向かう一家。皆の希望を乗せた汽船は、夜明けの海を滑り出す(田山花袋『朝』)。塩魚や飴、生姜…行商で各地を巡る男たち。月夜の晩、思わぬ昔話から彼らの運命の糸がつながり出して…(李孝石『そばの花咲く頃』)。ある者は罪を問われて、ある者は人を探して…田舎町の警察署は朝から晩まで警官たちがてんてこ舞い(伊藤永之介『鴬』)。どんな逆境の日も、必ず夜明けが訪れる。朝靄に一寸の光をもたらす三篇。

著者等紹介

田山花袋[タヤマカタイ]
1871‐1930。栃木県(現・群馬県)の館林に生まれる。本名・録弥。尾崎紅葉、江見水蔭に師事し、1907年に『蒲団』を発表して文壇に衝撃を与える。三部作『生』『妻』『縁』、長篇『田舎教師』などで島崎藤村とともに自然主義の代表的作家としてその地位を確立した

李孝石[リコウセキ]
1907‐1942。朝鮮の小説家。京城帝国大学法文学部英文科在学中から短篇『都市と幽霊』などを朝鮮語で発表し、プロレタリア作家として文壇に知られる。その後、人間の性質や自然を描いた『豚』『雄鶏』などを発表した

伊藤永之介[イトウエイノスケ]
1903‐1959。秋田県秋田市に生まれる。銀行員、新聞記者を務めた後、同郷の金子洋文を頼って上京。文芸批評を書き、プロレタリア文学運動に加わる。1938年に発表した『鴬』で新潮社文芸賞を受賞。戦後は『警察日記』などで東北の農民生活を描き、日本農民文学会の結成にも尽力した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

164
いつからか罪や恥じらいもすべて暗闇に溶かして、受容してくれるような夜が好きだった。たのしいこの夜が明けて、明日が来なければいい、と思った夜もいくつもあった。いつしか親しくなった夜。 でもあの乱暴なまでに夜の気配が一新される朝焼けの美しさ。澄んだ空気。はっと胸うたれ背筋を正す。朝を好きだと笑って誇れる私でもいたい、と。2020/01/27

新地学@児童書病発動中

114
百年文庫の最終巻。最終巻にふさわしい傑作短編が収録されている。「朝」という題が示す時に、どんなに苦しい時であっても、新しい朝は来るのだ、という確信を持たせてくれる物語ばかり。田山花袋の「朝」は現代では珍しい船旅が描かれている。田舎に住む家族が船で上京する時の様子が、鮮やかに描かれる。季孝石の「そばの花咲く頃」は、韓国の短編。行商の男たちの哀感が心に沁みる物語。この作者の小説を読むのは初めてだった。こんな短編に出会えるのが百年文庫の良さだ。伊藤永之介の「鶯」は昔の日本の交番の様子を活写したユーモラスな物語。2018/01/09

モモ

54
ついに百冊読了。田山花袋『朝』長年住み慣れた地から東京へ引越す一家。行方知らずとなった娘婿を探すため隣の爺さまも加わる。色々あれど、誰にも平等に朝は来る。李孝石『そばの花咲く頃』行商人の男たち。話をしてみると、まさかの縁が繋がる。この話、なかなか好き。伊藤永之介『鶯』まるで喜劇のように様々な事件が舞い込む警察署。生き別れた娘を探す婆と盗人など。みんな必死で生き、明るい明日を目指す。他の作品も読んでみたい。映画にしたら面白そうと思ったら、すでに映画化されていた。最後の一冊にぴったりな、人生を照らす朝の一冊。2023/03/05

臨床心理士 いるかくん

52
3人の作家の3篇から成るアンソロジー。百年文庫のラスト、100巻目。今日が良い日になりそうな予感があれば、今日一日が良い日であって欲しい。たとえ、昨日までがどんな日であったとしても。2015/02/01

けんさん

38
『必ず訪れる夜明けに、希望の光を見出す人達の物語』 生活の糧を求め汽船で東京へと向かう一家の旅立ち【朝】 そばの花咲く月夜の出来事、明かされる事実とは【そばの花咲く頃】 朝から晩まで忙しい田舎の警察署の様子を描いた【鴬】 どんな状況でも、必ず朝は訪れる!希望の朝が…2022/09/24

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