百年文庫

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  • サイズ B6判/ページ数 157p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121788
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

隠棲した剣客・幻雲斎は、諸国に名をとどろかせた妖剣の奥義を、ひとりの若者に授ける。弟子と師匠がまみえる劇的な瞬間を描く五味康祐『喪神』。「こんな縁起の悪いものは早く手放して仕舞いとうございます」。江戸時代から伝わる古い兜の不気味な来歴(岡本綺堂『兜』)。湯殿に近づくと提灯が消え、どこからか白粉を包んだような人肌の気が迫ってきて…。木曾路の旅篭を舞台に語られる、艶めかしくも恐ろしい話(泉鏡花『眉かくしの霊』)。妖しい血と情念がざわめく三篇。

著者等紹介

五味康祐[ゴミヤススケ]
1921‐1980。大阪市生まれ。1953年、日本浪曼派の流れを汲む『喪神』で芥川賞を受賞。剣豪小説で人気を博し、音楽、麻雀、手相など多趣味なことでも知られた

岡本綺堂[オカモトキドウ]
1872‐1939。東京高輪生まれ。本名・敬二。新聞記者を経て劇作家となり、『修禅寺物語』などで新歌舞伎を確立。江戸市井を描いた小説も数多く執筆し、『半七捕物帳』は広く読者に親しまれた

泉鏡花[イズミキョウカ]
1873‐1939。石川県金沢生まれ。本名・鏡太郎。17歳で上京後、縁故を頼って尾崎紅葉門下に。自然主義文学台頭期に一時低迷したが、江戸文芸を受け継ぐ作家として再評価された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

138
どうせ死ぬなら、殺されるに等価なおもいのなか一瞬のうちに死んでいきたいもの。人まちがいで殺されたなんてやりきれない。それは未練ものころうというものです。死んでも紅さして"綺麗"と褒められたい。曰くありげは気配だけ、ふしぎはふしぎで煙のなか。理はみえないほうがおそろしい。昔のことばで語られる怪しい談はおそろしいようでどこかかなしくて美しく、ひんやりと夏の夜に馴染みました。2020/08/27

sin

69
怪しの物語が三話納められている。五味康祐『喪神』真剣での立ち会いに於いて鬼神のごとき強さの真相や如何に、綺堂『兜』震災に遭遇して明らかとなった家に伝わる兜の言われ、鏡花『眉かくしの霊』前段の語りで木曽の山間部にある旅籠に誘われた読者はその涼気に身を委ねながら物語の行方に引き込まれていく…そして「似合いますか」の一言にゾッと背筋を寒くする。この物語だけは何度読んでも怖さを減じない。2021/07/15

モモ

50
五味康祐『喪神』幻雲斎に斬られ死んだ四郎利之の子・哲郎太は決戦を挑みに行くも敗れる。幻雲斎の命令どおり一緒に生活し情がわくも…。魔が差すということなのだろうか。それとも刀が持つ魔力か。岡本綺堂『兜』なぜか家から離れぬ兜。手放しても戻ってくる不気味さ。泉鏡花『眉かくしの霊』奈良井の旅籠に逗留した友人が経験した奇怪な話。でも霊よりも、嫁の不義を近所中に騒いで知らせて見せつけた代官婆の方が恐ろしく思った。この本、なぜか読んでいる間ずっと眠かった。2020/09/09

臨床心理士 いるかくん

43
3人の作家の3篇の作品から成るアンソロジー。五味康裕、岡本綺堂、泉鏡花の3人が書いた「怪」がテーマの短編集となれば面白くないはずがない。魔剣、不可思議な因縁の兜、木曽福島での怪異譚。2014/12/28

けんさん

33
『真夏の夜にゾワゾワするお話を3つほどいかが?』 妖剣の奥義を習得し旅立つまでを描いた【喪神】 不気味な古い兜の来歴を描いた【兜】 木曽路の旅籠での不思議な体験を描いた【眉かくしの霊】 ゾワっとしたい方におすすめ!2022/08/16

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