内容説明
粋筋のあいだで知られる海苔屋「森伝」は、すっかり時代の変化に取り残されていた。没落への悲哀にまみれながら遊びつづける当代主人の、艶やかな最期(北條誠『舞扇』)。客として馴染んだ店の老給仕がついに停年を迎えた。去りゆく季節の情感が美しい、久保田万太郎の『きのうの今日』。女給部屋の露骨な会話に、男客を奪いあう女たちの哀しみが浮かぶ佐多稲子『レストラン洛陽』。かげりゆく世界で光を放とうとした人たちがいた―失われゆく世界への愛惜が滲む三篇。
著者等紹介
北條誠[ホウジョウマコト]
1918‐1976。東京生まれ。早稲田大学国文科卒。戦前から川端康成に師事し、1946年『一年』『寒菊』などで野間文芸奨励賞を受賞。純文学、大衆文学、少年少女小説と幅広く活躍、テレビドラマや芝居の脚本も数多く手がけた
久保田万太郎[クボタマンタロウ]
1889‐1963。東京・浅草生まれ。慶應義塾大学在学中に発表した小説『朝顔』、戯曲『プロローグ』で一躍新進作家に。浅草下町情緒を描いた戯曲や小説を数多く残した。1957年に文化勲章を受章
佐多稲子[サタイネコ]
1904‐1998。長崎市生まれ。本名・佐田イネ。小学校5年からキャラメル工場に勤め、職を転々とした後プロレタリア文学運動へ。1928年に『キャラメル工場から』でデビュー。女性の地位向上にも尽力した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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