百年文庫

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  • サイズ B6判/ページ数 157p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121771
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

粋筋のあいだで知られる海苔屋「森伝」は、すっかり時代の変化に取り残されていた。没落への悲哀にまみれながら遊びつづける当代主人の、艶やかな最期(北條誠『舞扇』)。客として馴染んだ店の老給仕がついに停年を迎えた。去りゆく季節の情感が美しい、久保田万太郎の『きのうの今日』。女給部屋の露骨な会話に、男客を奪いあう女たちの哀しみが浮かぶ佐多稲子『レストラン洛陽』。かげりゆく世界で光を放とうとした人たちがいた―失われゆく世界への愛惜が滲む三篇。

著者等紹介

北條誠[ホウジョウマコト]
1918‐1976。東京生まれ。早稲田大学国文科卒。戦前から川端康成に師事し、1946年『一年』『寒菊』などで野間文芸奨励賞を受賞。純文学、大衆文学、少年少女小説と幅広く活躍、テレビドラマや芝居の脚本も数多く手がけた

久保田万太郎[クボタマンタロウ]
1889‐1963。東京・浅草生まれ。慶應義塾大学在学中に発表した小説『朝顔』、戯曲『プロローグ』で一躍新進作家に。浅草下町情緒を描いた戯曲や小説を数多く残した。1957年に文化勲章を受章

佐多稲子[サタイネコ]
1904‐1998。長崎市生まれ。本名・佐田イネ。小学校5年からキャラメル工場に勤め、職を転々とした後プロレタリア文学運動へ。1928年に『キャラメル工場から』でデビュー。女性の地位向上にも尽力した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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モモ

45
北條誠『舞扇』老舗海苔屋「森伝」は衰えつつある。「おっ張り初代、のんべり二代、ガラ三代」と言われ、自分はそのまま二代、三代を気にする伝兵衛。妾の子として養子にきた達吉の冷たい視線に、暗い将来が暗示されるのが何とも言えない。久保田万太郎『きのうの今日』久保田氏の最後の作品。馴染みのお店の老給仕が定年をむかえる寂しさ。あとがきを読むと、久保田氏の実生活の寂しさと繋がるところを感じる。佐多稲子『レストラン洛陽』その名の通り、傾きかけたお店と悲喜こもごもの女給たちの話。全体的に人生にたいする暗さを感じる一冊。2023/03/04

臨床心理士 いるかくん

34
3人の作家の3篇の作品から成るアンソロジー。時代は移り変わり、いつしか時代に取り残され、人は老い、あるいは死んでゆく。2014/12/23

TSUBASA

19
時流に乗り切れず、寂れていってしまった老舗の海苔屋。流行らなくなってしまったが自らの生き様は変えまいとする主人の末路、北条誠『舞扇』。馴染みの店で長らく勤めていた老給仕の停年を惜しむ、久保田万太郎『きのうの今日』。斜陽となっていた浅草のレストランで働く女給たちの男を巡る不幸、佐多稲子『レストラン洛陽』。人生の黄昏時の3編収録。北条誠と佐多稲子は古い言い回しが多くて読みにくく、なかなか頭に入ってこなかった。一方で久保田万太郎は比較的読みやすく、短い作品ながらも転変する人生をよく描いていてよかったかな。2016/07/24

15
つぶれそうな海苔屋の悲喜こもごもを描く北条誠「舞扇」オチが意外だった、長く働いた老給仕の引退した日を描いた久保田万太郎「きのうの今日」さびれた浅草のレストランで働く女給たちを描く佐多稲子「レストラン洛陽」人生の、そして日本の黄昏時を描く3編。…また現状黄昏時なんですけど、どんだけ黄昏てても、そんでも生きてる限りは生きなきゃならないんだなあ。その後、陽は上ったのだと、また上るのだと信じたい。2022/06/26

ふろんた2.0

8
北條誠「舞扇」、久保田万太郎「きのうの今日」、佐多稲子「レストラン洛陽」2015/07/27

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