内容説明
大阪万博にローマ・オリンピック、日本中が高度経済成長への期待に沸き、誰もが精一杯、明るく暮らしていた昭和30年代の四国・香川県の海辺の町。穏やかな毎日に起こる「事件」に子どもたちと大人の世界が交差する。懐かしくもまぶしい時代の物語。
著者等紹介
芦原すなお[アシハラスナオ]
1949年香川県観音寺市生まれ。’72年早稲田大学文学部卒。’86年『スサノオ自伝』で小説家デビュー。’90年『青春デンデケデケデケ』で文藝賞、翌年に直木賞を受賞。2005年に、香川県観音寺市の名誉市民として顕彰されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BlueBerry
14
色々と懐かしかった。2013/07/06
kishikan
13
まず、まえがきが絶妙!車の運転中、めったに使わないカーナビに導かれ、それやこれやの結果意識を失い、昭和30年代にタイムスリップ。・・ああこの部分で、僕は物語に溶け込んでしまう。(もうこれ以上踏み込めません。面白すぎて・・)是非、お読みください!辿り着いた先は昭和30年代の海辺の町。決して豊かな生活じゃないけど、自然が豊か。大人も、子どもも、時にはいがみ合うこともあるけれど、連帯感に満ち溢れた社会だった。ということを子ども達4人の生活で描いた物語。きっと芦原さん、懐かしい夢を見ていたんだろうなぁ。2011/09/06
大福
10
以前に「選挙犬」の抜粋を読んで、どうにも続きが気になり読んでみた。絶版だったので入手に少し苦労した。1960年代を舞台に子供たちが全力で過ごす日々。流石に懐かしいとはならず、むしろこんな時代もあったんだと新鮮な気分になる。大人になりあっという間に時間が過ぎるようになってしまったが、確かに子供の頃はもっともっと時間がゆったりと過ぎていた気がする。そんな時代の良さや貴重さに思いを馳せ、少し切なくなった。クールで賢いマサコも良いがフミノリの可愛らしさが際立つ。2019/03/28
たらこりっぷ
9
小学生の頃、ただひたすらに日々遊び続けていたことを思い出します。でも当時の自分としては、漫然と過ごしているわけでは決してなく、誰かと競い合い、何かを探し続け、見えない恐怖にどきどきしながら向かっていたのでしょう。女の子のほうが断然強かったことや、大人の世界に強い興味を抱いたことは私も同じ体験をしています。こういう本を読んで何の違和感なくすうっと体に染み込むのは、それだけ齢を重ねているということでしょうか。2014/11/09
砂糖
3
昭和30年代の四国の海辺の町を舞台に、やんちゃな子どもたちの日常を描いた連作集。これを「懐かしい~」と思うには、さすがの私もちょっと若すぎた。でも、高度成長期の大人も子どももはつらつとした感じは伝わるし、男子はいつもバカで、女子はいつもしっかりしている。マサコ、デビラのオババ、最高!子ども時代の思い出は宝モノ、という感じです。2015/02/10