百年文庫

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  • サイズ B6判/ページ数 165p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591119303
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

謀叛に失敗し島に流された男が、絶望のなかに新たな人生の境地を見出していく菊池寛の『俊寛』。巨大な体躯に釣り合わぬ童顔、工場に新たに雇われた男はうまくしゃべることもできなかったが…。忍耐と誠実でついに絶大な信頼を勝ちとっていく男の物語(八木義徳『劉廣福』)。異国で燈台守となった老人は四百段以上もあるらせん階段を上り下りする孤独な仕事に精励するが…。一瞬の油断がまねいた悲劇(シェンキェヴィチ『燈台守』)。運命の波に襲われた人間たちの生き方。

著者等紹介

菊池寛[キクチカン]
1888‐1948。香川県生まれ。一高、京大時代から作品を発表。新聞小説『真珠夫人』が爆発的にヒットし、後に「文藝春秋」や「オール讀物」を創刊。芥川賞、直木賞を創設するなど、文壇ジャーナリズムの始祖となった

八木義徳[ヤギヨシノリ]
1911‐1999。北海道・室蘭生まれ。早稲田大学在学中から横光利一に師事。満州での生活を題材にした『劉廣福』で、1944年に芥川賞を受賞。創作への真摯さで「最後の文士」とも呼ばれた

シェンキェヴィチ[シェンキェヴィチ][Sienkiewicz,Henryk]
1846‐1916。ポーランドの小説家。大学時代から週刊誌や新聞で小説を発表し始め、1895年、皇帝ネロ統治下のローマを描いた『クオ・ヴァディス』で世界的に名を馳せる。1905年にノーベル文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

120
芥川賞】八木義徳「劉廣福」。主人公は工場の採用も担当していた日本人。劉廣福を工員として採用し、働きぶりの観察記録。劉廣福は働きながら、次々と功績を挙げていく。劉廣福に許嫁がいて、力の根源が分かる。当時の工場の有り様をよく描写している。物品の盗難など、対処の仕方を間違えると作業効率の低下を招き悪循環から抜けられなくなることが想定できる。時代の記録。2014/11/08

新地学@児童書病発動中

117
人生の荒波に立ち向かう男たちを主人公に据えた3つの短編。菊池寛の『俊寛』は雅な優男だった俊寛が島流しという逆境に鍛えられて、腹のすわった男に変貌していく過程が爽やかだった。八木義徳の『劉廣福』は、気の優しい力持ちの男の描写が素晴らしい。劉廣福が冤罪という逆境に耐え抜く姿に励まされた。一番の好みはポーランドのノーベル文学賞作家シェンキェヴィチの『燈台守』。あらゆる困難をくぐり抜けてきた強靱な男の失敗が切ない。望郷の念を持たない人間はいないのに、と思う。2015/07/12

アルピニア

57
「俊寛/菊池 寛」陰謀が露見して鬼界ヶ島に流され、恩赦もかなわず一人残された俊寛のその後に関する異聞。何もかも失った時に見えたものは・・。「劉廣福/八木 義徳」読み書きができず、吃音で話すこともままならない劉廣福が人生を切り開いていく物語。芥川賞受賞作。「燈台守/シェンキェヴィチ(吉上 昭三 訳)」運命に翻弄され放浪の人生を過ごしてきた男がやっと手に入れた平安の日々。そこに届いた母国語の本。時を忘れてしまうほどに溢れる望郷の思いに胸打たれる。作者はポーランドの作家。ポーランドという国の過酷な歴史を思う。2022/07/26

モモ

47
菊池寛『俊寛』島に一人残された俊寛。悲劇の結末かと思いきや、他の二人がいなくなり、かえって冷静に考えられるようになった俊寛の第二の人生が素晴らしい。八木義徳『劉廣福』満州の日本工場で働く巨大体躯で童顔の劉廣福。日本人労務係に気に入られたが吃音で話せない彼は閑職になる。だが誠実な働きぶりで、なくてはならない人になる。彼の誠実さが読んでいて清々しい。シェンキェヴィチ『燈台守』世界を渡り歩き、疲れ果てた男が燈台守になる。祖国ポーランドへの思いで職を失うも、ついに幸せをつかんだように見える。確かに波を感じる一冊。2022/09/19

神太郎

47
「俊寛」は菊池寛なので安定の面白さ。絶望的な状況から流された土地で新たな生活を始める姿はカッコいい。『劉廣福』。こちらも痛快で面白い。主人公である劉廣福の一挙手一投足から目が離せない。『灯台守』。短いながらも非常に印象的な作品でした。安住の地を手に入れた老人が、たった一回のミスでその地を追われてしまう。責任ある仕事だからこそ一回のミスでクビになるのはわかります。しかし、老人からすればその安住の地から出ていかねばならないというのは少し寂しさもありますし、何とも言いようのない読後感でした。2018/02/26

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