出版社内容情報
地味でパッとしないカタツムリだが、生物進化の研究においては欠くべからざる華だった。偶然と必然、連続と不連続……。木村資生やグールドらによる論争の歴史をたどりつつ、行きつ戻りつする研究の営みとカタツムリの進化を重ねて描き、らせん状の壮大な歴史絵巻を織り上げる。第71回毎日出版文化賞受賞作。解説=河田雅圭
内容説明
なんだか地味でパッとしないカタツムリだが、生物進化の研究においては欠くべからざる華だった。偶然と必然、連続と不連続…。木村資生やグールドらによる論争の歴史をたどりつつ、行きつ戻りつする研究の営みとカタツムリの進化を重ねて描き、らせん状の壮大な歴史絵巻を織り上げる。第71回毎日出版文化賞受賞作。
目次
1 歌うカタツムリ
2 選択と偶然
3 大蝸牛論争
4 日暮れて道遠し
5 自然はしばしば複雑である
6 進化の小宇宙
7 貝と麻雀
8 東洋のガラパゴス
9 一枚のコイン
著者等紹介
千葉聡[チバサトシ]
東北大学東北アジア研究センター教授、東北大学大学院生命科学研究科教授(兼任)。1960年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。静岡大学助手、東北大学准教授などを経て現職。専門は進化生物学と生態学。大学院修士課程でカタマイマイに出会い、小笠原諸島を出発点に、北はシベリア、南はニュージーランドまで、世界中のカタツムリを相手に研究を進める。本作で2017年度の毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マエダ
45
歴史とカタツムリは「繰り返す」という点と「螺旋を描く」点でよく似ているという。書き出しから良い。 皆カタツムリ研究しすぎ。2024/02/18
ふるい
9
生物の進化は(自然)選択の結果なのか、はたまた偶然の結果なのか?一見地味なカタツムリだが、実は進化をめぐる科学者の論争の中心的存在だった。科学に疎いので読んでいてなかなか頭に入らない箇所もあったが、進化論の歴史がかなり興味深いもので面白かった。著者の他の一般向けの本も読んでみたい。…そういえば、カタツムリって大人になってから全然見かけない気がするな。2024/04/18
zhiyang
2
進化論争の歴史の本だが読ませる文章で、筆者が師匠の速水と出会ったところの「誰だこの先生」とか、緩急のつけ方が上手くて楽しめる。進化の最大の要因は選択か偶然か。進化論といえば自然淘汰・適者生存という言葉は知られているので、むしろ中立的な考えの鮮やかさが印象に残る。その地理的な隔離とランダムな変化に注目したギュリックに、ライトの適応地理の例えなど。「交配により子孫が残せる」という種の定義を適応できず、飛躍的な変化が観測されるという古生物学と生物学の違いも、考えてみればそのとおりなのだが目から鱗。2024/10/28
家の中のぱっぽ
2
選択か偶然か、という進化要因についてカタツムリから見る論争の歴史。端的に面白い。自然選択であれ遺伝的浮動であれ、本書を一度読んだだけでは理解はできないので、何度も読もうと思う。進化学や集団遺伝学の知識も必要。個人的には特に終盤、「どの外来種が危険でどれが安全か、私たちが判断できるようになるためには、進化と生態系とその歴史の真実について、もっと多くのことを知らなければならない。そうしたすぐには何の役に立つのかわからない多くのことを、まず知らなければならないのだ」がかなり響いた。2024/07/07
くろじら
2
進化における自然淘汰と遺伝的浮動の議論は、進化生物学の中心的な部分なのだけれど、そこにカタツムリの研究がこんなに深く関わっていたとは! そして、そこで重要な役割を果たしてきた海洋島のカタツムリたちが今は… 大量のカタツムリたちの歌、聞いてみたかった(涙2024/01/11
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