内容説明
別人に変装して、ダーツにあたった山手線の駅で降りてみる。これが休日の栞の密かな趣味。そこで出会ったかつての同級生、耕也となぜか縁がきれなくて…。素直になれない二人をジャズ喫茶のバンドマン、一児の母、辛口の秀才、甘えん坊の美少女(すべて高校生!)が支える。「東京」という街の中ですれ違う人間関係が静かなジャズの音にのせて描かれる極上の青春小説。第25回坪田譲治文学賞受賞。
著者等紹介
濱野京子[ハマノキョウコ]
1956年熊本県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。1999年毎日児童小説コンクール優秀賞、2002年同コンクール最優秀賞受賞。『フュージョン』(講談社)で第2回JBBY賞を、『トーキョー・クロスロード』で第25回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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恋するファンタジーの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
121
う〜ん、やっぱりトシのせいか高校生の眩しすぎる青春&恋愛物語だったので、残念ながら読了しても最後まで感情移入できませんでした。きっと、この年代の読者さんが読むとハマると思いますが、主人公「栞」にもイマイチぴんとこなかったですし、主人公が想いをよせる「月島」には正直、苦手意識しか生まれず、マトモなのは同級生ながら2つ年上の「青山」君ぐらいかなと。同級生「貴子」さんへの手作り結婚式の部分はとても爽やかな場面でしたが、他はズルズルとテーマがつかみきれず、オッサンには残念ながらストライク作品ではなかったです。2016/02/10
『よ♪』
68
泣いてしまった──。胸キュンな本を、と手に取ったが…。休日にぶらりと山手線を降りて散策する高校生"栞"。10代の不満や不安。それを満たす行動。そこで偶然、かつて密かに思いを寄せていた"耕也"と再会。そこから人の繋がりがどんどん広がる。美少女や辛口なリケジョ、ジャズ喫茶のサックス奏者や一児の母までも同級生。みんな少しずつ支え合ってる。相手を思いやってる。文化祭ってどうしてジーンとくるんだろうね。留年も珍しくない進学校、日暮里辺りの街並み、千駄木や根津の風景が高校生の頃に重なって──。ついつい泣いてしまった。2020/04/18
真理そら
52
不来方のお城の草に寝転びて空に吸はれし十五の心(石川啄木)を小説にするとこうなる、という雰囲気の青春小説。いつもとは違うファッションでダーツで選んだ山手線の駅で降りてみるという趣味を続けている栞。心の中に淡い喪失感があって栞は「そこはかとなく悲しい」。女にもてる月島耕也も亜子や麟太郎他同級生もたぶんそこはかとなく悲しいのだろう。あとがきで新海誠氏が書いているようにこの悲しさは人生の通奏低音につながるものなので消えることはないかもしれない。それでも自分の気持ちに気付いた栞と耕也は輝く瞬間を味わっている。2024/04/30
るぴん
50
初読み作家さん。変装して、ダーツにあたった山手線の駅で降りて散策することが、普段頼られることの多い栞の休日の息抜き。そこで偶然かつての同級生耕也と出会う。とても良かった‼︎自分の気持ちに蓋をする栞に凄く共感したし、麟太郎の方がいい人だと分かっていながらも、同じ感性を持つ耕也に惹かれてしまうのもわかる。若い頃の恋ってこういうものよね、と強く感じられる青春小説だった。亜子と美波、同級生ながら既に己の道を進む麟太郎と貴子の脇役陣も良かった。もっと若い頃に読んでいたら、他人事とは思えずに苦しかったかもしれない。2019/03/23
*mayu*
31
学校での自分とは違う姿でダーツに当たった山の手線の駅を降りて散策するのが休日の密かな楽しみの栞がある日偶然再会した中学時代の同級生、月島。友情と恋の間の微妙な距離感に揺れ動く2人と様々な事情を抱える同級生たちを描いた青春小説。甘くて苦い青春のほろ苦さをうまい具合に描写してあって素敵でしたし、登場人物たちが皆個性豊かで、作中で良いバランスを保てていました!昔通っていた図書館ではこの本YAコーナーに置いてありましたが、これは逆に大人になってから読むと味わい深く読めるのではないか…と思いましたね。2015/05/27