内容説明
両親の離婚時に独立を宣言した姉と二人で暮らすようになつて三年。高三になった菜生は、大学への推薦決定後、学校をさぼりがちになっていた。そのうち、短大を出て働いている姉までなぜか会社を仮病で休むようになり―青春の一時期に抱く感覚を、こまやかに切り取った物語。
著者等紹介
大島真寿美[オオシママスミ]
1962年、名古屋市生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
139
両親が離婚して父母がそれぞれに出て行った後の家に二人で暮らしていた姉妹が迎える人生の転機の物語。姉は婚約者がありながら三年前にふらっと出て行った近所に住む大学生・透樹への恋心がむくむくっと復活して気もそぞろで出社拒否した挙句にとうとう会社を退職し婚約は一方的に解消して中国まで透樹を追いかける一本気の人生の一大決心ですが、婚約者の北山さんはそりゃあ気の毒ですよね。一方の妹は入院中の変人青年ミキオと会いながら高校をサボる毎日で人生の目標を見失っている感じですね。でもヒロイン菜生はまだ若いですし大丈夫でしょう。2020/11/28
masa@レビューお休み中
96
羽の音はどんな音がするのだろうか。大きな鳥ならばその音、その風を感じることができるかもしれない。けれども、ごく小さな虫の羽音なら聞くことも、感じることもできないかもしれない。人によって、感情も動きも違うのが当然である。それは人生に行き詰まったときも同じである。怒鳴ったり、わめき散らせば誰にでもすぐにわかるかもしれない。そうではなくて、じっと身を潜めるように引きこもってしまえば…。それは音どころか、存在すら気づかないかもしれない。姉妹の行き詰まり、反応、変化、恋の行方がここにはあります。2016/07/10
なゆ
55
「かわった姉妹だよなあ。ついこの間まではまともだったのに」二人暮しの高3の菜生と社会人の花保の、なぜかほぼ同時に不登校&出社拒否になってしまった12月。プツンと何かが切れたように。でも、お互いに何か訊くでもなく、かと言って険悪でもなく。読んでるこっちがヤキモキする。ミキオとのかみ合うような、合わないような距離。わかるようなわからないような。フニクリ・フニクラの陽気な歌にのせて、なるようなるのか。骨が軋む音。羽が生えるのか、しっぽが生えるのか。このモヤモヤした感じが青春の一時期に抱く感覚なのかしら。2018/07/17
陽
14
不登校の私と、会社出勤拒否の姉、両親離婚で二人はどちらにもつかず、姉妹で生活する。 社会に諦めていて、ただ時を消費しているだけ、生きているだけの姉妹だけど、心の中には深い思いがあるようだ。 まあ、こんなろくでもない社会だけど、両親の援助もあるし、生きるだけなら意外と、簡単。 でも、友人は自殺未遂で入院していたり、隣の幼馴染は失踪。 なんだか惰性的で、無気力で、でも悩んでもいなくて・・・。 これが現代の若者の心理だと思うよ。2016/03/01
赤い肉球
12
え?こんなんで終わり?思わず口から漏れた。姉妹の今後が気になるなぁ…。今どき、こんな家庭も少なくないんだろね。そんな家庭で育った子供は、そうでない子供よりもずっと早く大人になるんだろね。2014/11/23