おでいと―晩年の父・犀星

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  • サイズ B6判/ページ数 339p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784591110539
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

内容説明

父と娘はまるで恋人のようだった―。父・犀星と出かけた銀座、教えられた女の身のこなし、病床で筆を執る作家の気魄…すべての瞬間が意味を帯びた。文豪の父と娘に残された日々を描く『晩年の父犀星』に加え、若くして逝去した弟の最期を綴った『弟の死』を単行本初収録。

目次

晩年の父犀星
弟の死

著者等紹介

室生朝子[ムロオアサコ]
1923年、室生犀星の長女として生まれる。父犀星が娘朝子をモデルにした『杏つ子』を発表したのをきっかけに、三三歳で執筆活動に入る。多くの作品を発表するかたわら、犀星作品集の編纂にも力を注いだ。2002年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ごはん

18
父・室生犀星の晩年を娘・朝子が語った随筆。また、弟・朝巳の闘病を書いた短編を併録。「われはうたえどもやぶれかぶれ」を最後にこの世を去った犀星。発病の兆しからその最期まで細かに記した本書に病の恐ろしさや残酷さだけではなく、犀星や朝巳が生きようとする強い意志を感じた。恋人のように父娘で銀座をおでいとしたこと。数々の作品を生み出した父の手の柔らかさを初めて知ったときのこと。自宅と同じように美しいものを並べた中で迎えた最期のとき。病名を隠して残された時間を過ごしながら最期まで娘として最愛の父に向き合う様に涙した。2009/08/22

ポポ

1
当時は、本人への癌告知はまだ一般的ではなかったのかもしれない。犀星が自分の病気を知らずに亡くなっていく様子に、むしろ本人への尊厳を欠いているとさえ感じたのは、癌告知が一般的になった現代だからだろうか。犀星ほどの人間、文学者なら、自分のおかれた状況を冷静に受け止め、自分の死を含めた新たな人生観を打ち立てることが出来たのではないかと残念な気持ちさえする。 それに対して、自分の死を能動的に迎えようとする息子の精神力はたいしたものだ。2018/10/29

かさかさ

1
娘が看取る父の最期ですが、それは子供の務めであると思う。自分にはまだそういう経験はないけど、やがてこういう風に迎えるのかなと思いながら読みました。この作品で描かれる室生犀星を見て、彼の著作を読んでみたくなりました。2013/05/12

cliclo

1
室生犀星記念館で見た朝子さんの姿に惹かれて読んだ一冊。病状がひどくなっていく犀星をなぜすぐに入院させないのだろうとじれじれしたが、それは父に対する思いの深さゆえなのだと読み進めていくうちに知った。朝子さんの少女のように無垢な笑顔、朗らかさは裏に隠れてしまっているけれど、実の姪で後に朝子さんの養子になった洲々子さんのあとがきでその姿を少しうかがうことができる。2009/12/06

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