内容説明
豪壮な邸宅が並ぶ高級住宅街の一軒家に下宿をすることになった健と真由美。家の一階に住む政代は、一見きさくな性格の裏に、東京に住む上流階級の人間特有の驕慢さが次第に明らかになっていく…。煌びやかな「東京」に息づくリアルな人間模様を切り取った傑作短編集。
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
コピーライターとして活躍したのち、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーに。『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞、『みんなの秘密』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
46
女の見栄や嫉妬や劣等感、あるいは小賢しい女を凝縮したような短編集です。外見は綺麗にしていても、かくも人間というものは虚栄な生き物なんですね。楽しく読了しました。2019/12/20
はれひめ
46
東京を畏れ東京に挑んでいるような田舎娘のコンプレックスが描かれています。ベルコモンズやスパッツが出てくる2008年発行の文庫本でしたが、この頃の林真理子さんは勢いがあって好き。上昇志向で痛い目にあっても自分に都合良く解釈してやり過ごすパターンです。はたから見れば面倒くさい痛い女です。東京人が同族と見なせばお嬢さん呼び、それ以外は娘さん呼びのくだりにはハッとしました。巻末の柴門ふみさんの解説がお見事。私の拙い感想が恥ずかしい。2017/05/07
あつひめ
31
東京って憧れの象徴のようであり、人生のコンクリートジャングルのような場所でもあるような気がする。遠くから見ていると輝いていて一流の場所のように見えるけど、いざその場に立つと作られたものばかり。人も緑も空も地面も・・・誰かに手を加えられたものばかり・・・。それでも、一度は行ってみたい憧れの眠らない街なのかもしれない。そんな饐えた感じを良く表現しているように思う。2010/08/26
なっち
27
『東京』と聞いただけで気後れする田舎者の私ですが、どれだけ頑張っても昔からその地に住んでいる人にはかなわないところはありますよね。解説で柴門ふみさんが、林真理子さんはものの見方が意地悪だというようなことを書かれていますが、私もそう思います。でなければこんな着眼点で面白い小説なんて書けないでしょう。2019/01/05
ミーコ
26
「東京の女性」が1番印象に残りました。憧れの東京・・ 色んな女性のお話でした。2020/11/10
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