内容説明
出て行こう。あの家から。この村から。公園のトイレに駆け込んで暗くなるまで身をひそめていた。財布には四十円しかなかった。バスにも乗れない。水洗トイレの水が凍っていた。セーラー服の下はタンクトップ一枚だ。土手を滑り落ちるように川原に下り、大きな岩の間に隠れていると父の姿が見えた。絶対に見つかってはならない!雪が降ってきた。このまま凍えてしまうのか。家の中で死んでいった、あの小鳥たちのように―。虚飾なき言葉が響きわたる、衝撃のデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しの
8
こんなにも死と生について、胸がつまる思いをさせられるなんて。すごく苦しくなるけど、読んでよかった。2015/03/27
nemuro
1
なんか、すごい本に出合ってしまいました。図書館で、潔いほどの厚さとシンプルな装丁に惹かれ、著者に関しても、作品に関しても、何の予備知識もないまま、たまたま手にした本ですが、久々に「読み切ったなぁ。本って、いいなぁ」を実感できました。しかも、実はこれがデビュー作とは・・・。脱帽、いえ絶句!です。2009/12/12
whose
0
もがいてももがいての抜け出せない生活とそこに流れる血。2009/12/17
ましろ
0
一人の少女が大人へとなっていく年月。飾りのない言葉で、でも泥臭くなくラストまでただただ進む。突き進む少女の姿が痛々しくて、飾りない言葉が余計にストレートだ。2009/07/30
神崎華仔
0
そりゃ大変だ,で?? 終わり2009/01/10