内容説明
カナダに住むキャットの祖父は、戦後、ウクライナからカナダに渡ってきた移民だった。祖父は第二次世界大戦中、ナチス占領下だったウクライナにおいて、ナチスに協力し、市民警察官として民間人への残虐行為に加担したという嫌疑をかけられてしまう。その日から、裁判を通して真実を明らかにするための家族の闘いが始まった。心ないメディアの取材攻勢、ぎくしゃくしていく学校生活や友人関係…。そんななか、少女は自分をとり巻く歴史や文化と向き合い、成長していく。女子高性が見つめた戦争の真実を、まっすぐに描いた傑作。
著者等紹介
スクリパック，マーシャ・フォーチャック［スクリパック，マーシャフォーチャック］［Ｓｋｒｙｐｕｃｈ，Ｍａｒｓｈａ Ｆｏｒｃｈｕｋ］
１９９９年に初のジュニア小説“Ｔｈｅ Ｈｕｎｇｅｒ”を発表、批評家たちから高い評価を受けた。夫と息子１人とともにオンタリオ州ブラントフォードに在住。英文学士号とライブラリ科学修士号を持つ
荒木文枝［アラキフミエ］
立教大学文学部英米文学科卒。翻訳者（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
7
祖父がナチス協力者として糾弾されたことから、戦争について考えていく感受性の強いヒロイン。簡単にハッピーエンドにしないところが逆にリアル。2014/12/25
ココマ
2
児童文学だと思って読んだが、とんでもなかった。ウクライナの悲劇が描かれていた。北米でのスラブ人への応対は、皆が悪と思うナチのそれと似ているのではないだろうか。
mimi
2
表紙を見ると読む気が失せるが、無視して読んでみると、中身はとても読み応えありでびっくり！2012/04/18
つきと
2
話題を呼ぶからというだけで使われる新聞の見出し。元ウクライナの秘密警察員であり、カナダに帰化した際に虚偽を用いたとして罪を捏造した裁判の内容を、虚偽をもって報じられる『ニュース』に憤りを感じる。ハッピーエンドではないラストによりリアリティを感じなんともやるせない。「世界は、成長したか？」この問い掛けがとても鋭く、戦争の残酷さよりもさらに残酷な人間性を突き付けられる。未だ終わりの見えない戦争の禍根、どこまで恨みの連鎖を繋げれば『被害者』や『正義』は満足するのだろうか。戦争を知らない若輩ではあるけれども。2010/03/20
