リビアの小さな赤い実

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  • サイズ B6判/ページ数 366p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784591098615
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

自由を求める父の夢、イスラム社会に生きる母の祈り。国家に翻弄される人々の愛と裏切り、そして「ゆるし」の物語。2007年4月、英国王立文学協会賞受賞。

著者等紹介

マタール,ヒシャーム[マタール,ヒシャーム][Matar,Hisham]
1970年、ニューヨークでリビア人の両親の間に生まれる。幼少年期をトリポリ、カイロで過ごす。1986年以降、ロンドン在住。2006年、『リビアの小さな赤い実』で小説家としてデビュー。自伝的要素の色濃い作品は高い評価を受け、ブッカー賞をはじめ数々の文学賞にノミネートされる。2007年、英国王立文学協会賞受賞

金原瑞人[カネハラミズヒト]
岡山市生まれ。法政大学社会学部教授。エスニック文学、マイノリティ文学、児童文学などを講じる。絵本から物語、小説まで、多種多様な作品を精力的に翻訳

野沢佳織[ノザワカオリ]
東京生まれ。上智大学英文学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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優希

75
翻訳が金原瑞人さんだったので手にしました。素晴らしく美しい世界を味わうことができました。母親の秘密を小さな胸に抱えるスライマーン。少年ならではの脆さとしなやかな強さで少女の母を守ろうとするのが切なかったです。一粒の黒い影が徐々に覆いつくしていく苦しさ。スライマーンの心が自分の残虐性。それは国家に翻弄される愛と裏切りなのだと思います。そしてそこにある赦し。忘れられた祖国に生きようとするからこそそこに輝きを感じずにはいられませんでした。2015/11/10

どんぐり

73
ヒシャーム・マタールの少年の視点で描いた半自伝的小説。リビアの革命指導者カダフィーがいた時代、9歳の少年がみる国立バスケットボール競技場を席捲する狂気。そこに映し出されたのは、縄からぶらさがる一人の男に向けられた観衆の突き上げた拳と歓声。公開処刑を行われた瞬間、テレビの画面はピンク色の花の静止画像に切り替わる。そこにいたのは、革命評議会に連れ去られた親友の父親。同じころ、少年の父親も何度か家を不在にする。この国では、黙っているか亡命するか、壁際を歩くか立ち去るか、ヒーローになりたいならどこか別の国でやるし2019/05/04

星落秋風五丈原

15
今はもうカダフィ大佐はいないけれど、軍事独裁政権下で意思を貫く父と自分と同一視しようとする母の間で育ったリビアの少年の視点から描いた作品。2014/08/23

ホースケ

14
リビアと言えば、カダフィ大佐の名前しか知識がなかった私は、地図を引っ張り出して、まずはこの国の位置を確かめるところから始めた。北アフリカの地中海に面した国。その海を挟んでイタリアやギリシャが近くに見える。そのリビアで行われていた恐怖政治の日常が9才の少年のひと夏の体験として描かれる。人は生まれた国、時の政権によってこんなにも虐げられ翻弄され疑心暗鬼の日々を送らねばならないのかと言葉を失う。また女性の置かれた地位の低さにも愕然とする。太陽の光にあふれたトリポリの町と藍色に輝く海。遠い国に思いを馳せ頁を閉じた2019/06/29

くれの

12
地中海を臨む美しい風景が描かれる半自伝的な物語です。カダフィ独裁体制の醜悪さを彼の豊かな感性を通して追体験しました。原題の”In the country of men”の意味を理解し矢庭にフェミニズムが頭を擡げます。2019/05/22

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