出版社内容情報
労働環境の変動への対応から体系的に立法された労働契約法は、成立以降、その法理の妥当性が常に問われている。労働契約論に関する主な論点につき、理論的到達点を踏まえ、あらためて再定位を試みるとともに、今日的課題を探る。
目次
第1部 労働契約論の再構成総論(人事権に基づく降格(級)・降給に関する判例を検討する
労働契約に見る約款法理の考察―ドイツ労働協約に関する判例法理を素材に
採用内定時の合意による内定取消と出向・配置転換―社会福祉士国家試験の不合格時における内定取消に関する合意をめぐって
海上労働契約の構造)
第2部 労働時間・内部告発・秘密保持から見た労働契約論の再構成(強行法規の趣旨と賃金合意の効力―定額残業代の有効要件を題材として;労働時間性判断をめぐる法的課題と社内規定;内部告発者・公益通報者に対する保護・支援と労働組合の役割―イギリス・EUにおける公益通報者保護の動向を踏まえて;秘密保持義務の法的根拠とその有効性に関する考察)
第3部 雇用終了から見た労働契論の再構成(試用期間中の解雇について;企業の倒産と労働契約の帰趨)
第4部 非正規雇用・労働者性から見た労働契約論の再構成(無期転換ルールの再検討;自営的就労と労働契約をめぐる法的論点―新たな働き方に応じたサポートシステムの必要性をめぐって;中間的就労における労働者性の問題を照らす一筋の希望の光)
第5部 集団法から見た労働契約論の再構成(フランスにおける労働契約に優位する企業別協定の憲法適合性論理;「雇用調整策としての出向・転籍」をめぐる労働契約と労働組合の役割―鉄鋼業のリストラ策を事例として)