出版社内容情報
戦後労働法学の第二世代を理論的に牽引してきた著者の労働法基礎理論の集大成。形成から将来までを見透(とお)す理論的再定位の書。
西谷 敏[ニシタニサトシ]
西谷 敏(大阪市立大学名誉教授)
内容説明
戦後労働法学の第二世代を理論的に牽引してきた著者の労働法基礎理論の集大成。労働法の形成から現在までを再考し将来を見透した深い思索の書。
目次
労働法の本質と発展
市民法と労働法
民法と労働法
労働法の基本理念
労働法における公法と私法
労働契約と労働者意思
「労働者」の統一と分裂
労働組合と法
労働法における法律、判例、学説
労働法の解釈
労働関係の法化と紛争解決
労働法の将来
著者等紹介
西谷敏[ニシタニサトシ]
1943年神戸市生まれ。1966年京都大学法学部卒業。1971年京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得満期退学。1971~2007年大阪市立大学法学部(法学研究科)勤務。2007~2010年近畿大学法科大学院勤務。現在、大阪市立大学名誉教授。法学博士、フライブルク大学名誉博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むっち
3
専門書ではあるけど、一定の労働法の基礎をもった人が読むことは可能なやさしい本。平易な文体に戦後の労働法学のあゆうみと関心とこれからの課題も触れてまさに研究の集大成。労働法を仕事の種にしているなら、その原理的な考え方、最高裁判例に対する真摯で原則的な観点からの批判も読める。労働法研究史としても基本書読んでるだけは分からない論争の根源にかかわる論点が一遍に読める。日頃判例をどう理解するのかに必死で自分で考えるを忘れた人には読んでほしい本。読書メーターのレビューが一人もいないので書いておこう。2016/12/23
こたつ
0
雇用関係だけでなく、「労働の法」がどのようなものか、どのようにあるべきかが、ありとあらゆる角度から検証されていました。労働を規律するために、最低限守るべき価値はどこにあるのか、そしてそれをどのようにルールにしていくのかを考えることができて、大変勉強になりました。やはり本書でも西谷理論の中心である「自己決定」に大きな価値が置かれていますが、労働法の最上位理念は「人間の尊厳」であるという主張はとても格調高く、しかも空疎なお題目ではなく説得的に展開されていく様は圧巻です。2017/09/19