目次
序章 「福祉国家の危機」と若年失業問題
第1章 アイズミテック偽装請負問題の概要と偽装請負をめぐる整理
第2章 偽装請負のもとで働く若年労働者の労働過程
第3章 トヨタ生産方式と労働者の抵抗
第4章 労働組合結成と指揮・命令関係および労務管理
第5章 請負労働者組合運動における既存労働組合の役割
第6章 労働組合結成と地域労働市場
第7章 社会関係資本と請負労働者の生活
終章 強調される自己責任論と主体としての若年労働者
著者等紹介
伊藤大一[イトウタイチ]
1975年7月山梨県生まれ。2004年3月立命館大学大学院経済学研究科博士課程修了。4年間のフリーター生活を経た後2008年4月大阪経済大学経済学部専任講師。2011年4月大阪経済大学経済学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
9
自動車部品工場で働く請負労働者に対して、7年にも及ぶ調査をもとにした労働運動論です。とくに、若年労働者の主体形成論と労働組合論を結び付けて論じられているところが面白いです。請負労働者たちは、熟練度では高度なものがありながら、不当に低賃金で不安定雇用に置かれている実態が述べられています。そうした労働者が、組合をつくり、正社員化を勝ち取ることの重要性を考えることができると思います。福祉レジーム論が福祉国家論にとって代わるという捉え方には、考えさせられるところもありましたが、とても貴重な本だと思いました。2014/06/09
浅井秀和 「不正規」労働者
1
ある地方の請負労働者たちが労働組合を通じて正社員化をいかに獲得していくかの事例報告。この事例は労働運動界全体が注目すべき驚嘆すべき成功例である。なんと請負労組の中心的存在がヤンキーであった。ヤンキーは労働法を学び、労働者派遣法をノートに張り付け団体交渉に臨むのである。このことを人倫の発展とよんでもいい。私は地方の再生はヤンキーと労働運動の合体により再生できるのではないか、とヒントを得た。 2015/03/12