内容説明
今日、中国は東アジアのみならずグローバルな場においてますますその存在感を高めつつあるが、その国際政治における歴史的起源は、アジア太平洋戦争中における国際連合の組織化過程にさかのぼることができる。本書は、中華民国国民政府の長期にわたる対日抗戦のなかで、とくにアジア太平洋戦争下の連合国の一員としてどのような外交行動をとったのか、また国際連合組織化過程に果たした役割はいかなるものであったのか、について中国側アーカイヴズを利用することで実証的に再構成する課題を設定した。
目次
序 二〇世紀前半期中国と「三つの外交空間」
第1章 第2四半世紀中国政治と宋子文の外交資源―「国際的地位」をめぐる中米関係
第2章 モスクワ外相会議と四国宣言―連合国政治舞台への登場
第3章 カイロ会談における国際平和機構構想―アメリカの対中国「大国化」政策と蒋介石
第4章 ダンバートン・オークス会議における中国代表団―「大国化」政策の現実と顧維鈞
第4章補論 日本外務省資料にみるダンバートン・オークス提案(一九四四年一〇月)への「修正意見」
第5章 一九四〇年代アメリカ対中国政策の不確定性―スティルウェル事件の一解釈
第6章 サンフランシスコ会議中国代表団の編成過程―国共関係の国際問題化
第7章 サンフランシスコ会議における中国代表団―顧維鈞の活動を中心に
第8章 一九四五年東アジアの国際関係と中国政治―ヤルタ「密約」の衝撃から東北接収へ
著者等紹介
西村成雄[ニシムラシゲオ]
大阪外国語大学教授
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