内容説明
本書に収録された日記は、日中戦争の全面化とともに応召した1兵士が、1937(昭和12)年9月1日に入隊したその日から、1939年(昭和14)年8月7日、動員された中国戦線から帰還・除隊する前日までの約2年間、1日も欠かさずに認めた従軍日記の全文である。
目次
1 華北侵攻―大沽上陸から子牙・〓陽作戦へ
2 大転進―南京攻略戦への従軍
3 再び華北で―河北省の警備と山西省境討伐
4 山東・江蘇・河南・安徽―徐州作戦と横河決壊
5 大別山系の苦難―武漢攻略戦と戦線膠着
6 湖北転戦―安陸作戦から襄東作戦へ
7 帰還への予感―大陸を去る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
10
第16師団の一輜重兵が、出征から除隊までおよそ2年(1937〜39年)にわたり記し続けた驚嘆すべき日記。手帳で実に11冊分という。一日あたりの分量も相当に多く、戦場と兵士の実態を物語る貴重な資料となっている。著者は入隊前は教員であり、知的好奇心と記録精神はそこで養われたものらしい。中国の学校で見つけた時間割や抗日ビラまで筆写されている。故郷から膨大な手紙や小包、慰問品を受け取り続けていたのは意外だった。残してきた妻や子への愛情が胸を打つ。遭遇した大事件としては、国府軍による黄河決壊が一番だろう。2023/07/21