内容説明
九州石炭産業は、戦後十数年にわたり、日本資本主義の産業政策と労働運動の激突する場となってきた。本書の主要な部分は、上記の十数年間、すなわち、1948年11月から62年3月にかけて九州産業労働科学研究所理事・事務局長であった著者が、福岡、佐賀、長崎にまたがる九州炭鉱地帯において取り組んできた炭鉱労働調査など10編をもって構成されている。
目次
第1部 戦後九州石炭産業の再編成の時期〈1945―53年〉(解題;戦後九州石炭産業の再編成と合理化;―統計諸表による過程の解析;カッペ採炭・竪坑開発と炭鉱資金;―日炭高松における事例調査;炭鉱労働力と南九州農村(1952年11月))
第2部 炭鉱失業・「灰色の谷間」の時期〈1953―56年〉(解題;大手筋炭鉱における希望退職者の調査分析―三井田川と三菱崎戸の場合を中心に;中小炭鉱失業者の職歴と生活―筑豊「灰色の谷間」815世帯の実態調査(中間報告)
中小炭鉱における検炭規定をめぐる問題点―中島鉱業傘下の各坑の場合
炭鉱労働者の流動・下降構造の実証分析―諸調査と統計による総括)
第3部 戦後九州石炭産業の撤退・解体の時期〈1957―70〉(解題;戦後九州の炭鉱における技術合理化―労働過程の再編と搾取体系;杵島炭鉱の経理分析―『経営白書』の批判;三池争議前後における三井鉱山の経営と労働―炭鉱資本の「撤退」過程;関西地方在住の炭鉱離職者の就労と生活状態調査―雇用促進事業団宿舎居住181世帯の実態調査)