内容説明
「読書」はいかにして「教育」に転化していくのか…。1900年代から1960年代までの読書政策、図書館活動や読書運動の歩みを近代日本教育史の視点からあとづける。
目次
序章 教育問題としての読書
第1章 近代化と読書行為の普及
第2章 教育的営為としての読書―社会教育成立との関連で
第3章 都市公共図書館における教育活動の模索―今澤慈海の図書館論を視点として
第4章 戦時下における読書指導の展開―長野県を中心として
第5章 戦後における読書活動の展開―長野県下伊那地方における読書運動を中心に
終章 近代日本における読書の教育的位置づけ
資料編
著者等紹介
山梨あや[ヤマナシアヤ]
1978年、東京都生まれ。2005年、慶応義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(教育学)。現在、慶応義塾大学文学部助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シルク
10
2024年シルク的トップ10入り確実。いや、実はこの本、10年くらい前から、知ってた(笑) 読まな、読まなと思っていたものの、学生のときのわたくしには、この本を読みこなす力が、まるで無かった。かつては私物として1冊持っていて、力ずくで読了しようとしていたのだけど、「序章」の数ページで、毎度撃沈。わたくしの読解力のなさ、語彙の乏しさのほか、思うに、わたくしのなかで、「読書=普遍的(?)に、学びということを考える際に筆頭の手段」という思い込みがガッチリあったが故に理解出来なかったのだろう。筆者は、「近代以降→2024/08/19
CCC
9
日本は江戸時代から識字率の高い国家で、貸本屋だってあったんだから、きっと上も下も読書に親しんできたんだー、とそう思ってた時期が私にもありました。実際には今のようになるまでには紆余曲折があり、一般化するのも徐々のこと。昔は音読が基本だったとか、あまり考えたことがなかったような話もあって面白かったです。2015/01/08
bocboc
2
「読書」という行為を「教育」の視点から改めて問い直している点で意義のある本。多くの文献調査やフィールドワークに基づく考察に裏付けられた「教育における読書」の2つの側面についてのまとめはとても説得力があり、読書というものを根本から考え直す契機にもなった。特に著者が最も力を入れて調査を行っていた下伊那の婦人文庫の話では、農村女性の読書行為への参入の過程、そして読書行為に徐々に意味・価値を見いだしていく過程が、彼女たちの手記やインタビューを通じて浮かび上がってきて、非常に興味深かった。2011/12/01