出版社内容情報
技術の発展が可能にした生殖補助医療、人工妊娠中絶、遺伝医療と再生医療、臓器移植、終末期医療の各テーマをめぐって、これまで国内外で積み重ねられてきた生命倫理の重要な論点を総ざらいし、公共政策の視点から問題の所在と妥当な対策を提示する。「自律性」「共生」「自然性」を原則とする著者独自の政策理念のもと、膨大な先行文献をふまえ、将来への展望を示す最良の研究・概説書。
内容説明
生命倫理が問われる生殖補助医療、人工妊娠中絶、遺伝医療と再生医療、臓器移植、終末期医療の各テーマをめぐって、これまで国内外で積み重ねられてきた重要な論点を総ざらいし、公共政策の視点から問題の所在を明らかにする。「個人の自由」「共生」「自然性」を理念とする著者独自の政策原則のもと、膨大な先行文献をふまえ、将来への展望を示す斬新な研究・概説書。
目次
序章 生命倫理と政治
第1章 生殖補助医療
第2章 人工妊娠中絶
第3章 遺伝医療と再生医療
第4章 臓器移植
第5章 終末期医療
著者等紹介
成澤光[ナルサワアキラ]
法政大学名誉教授、元国際基督教大学客員教授。日本政治意識史、生命政治論、公共政策論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bevel
2
生命倫理の主要な主題に関して、学会の提言から海外での政策まで、ある程度網羅的に挙げて論点を整理する。ただ「個人の自由」「共生」「自然性」という理念から政策の原則を導き、生命倫理に関する立法の「全体を俯瞰する」云々の話はピンとこない。一方でそれぞれの技術と関わる人の営みから出てくる個別的な問題が重要だと思うので、統一的な理念を参照する必要ないのではと思うし、他方でもし統一的な理念が有益だったとしても、それが採用されるかどうかは、少なくともこういった形で書籍化するのとは別のプロセスを必要とするように思う。2022/01/09
Schuhschnabel
1
生殖補助医療、人工妊娠中絶、遺伝子解析・改変、臓器移植、終末期医療といった生命倫理の主要なトピックに関して、国内外の最新の法令・ガイドラインに依拠しながら、合意形成を行う上での立脚点を提案している。そのため、「受精の瞬間から我々と同じ〈いのち〉である」といった極論を排し、個人の自由に共生と自然性というブレーキを設けるという筆者独自の原則から、論理的一貫性を基礎に立論されている。個人的に一番関心がある治験から薬事承認・保険収載までをめぐる問題にほとんど触れられていないのは残念だが、一読の価値はある。2019/10/31