出版社内容情報
常識を疑う叛骨の精神が組み込まれたジェンダー概念を用い、主流政治学やリベラリズム、デモクラシーに内在する不平等を解き明かす。女性はなぜ生きづらいのか。常識を疑う叛骨の精神が組み込まれたジェンダー概念を用い、政治学に埋め込まれた男性の優位性、女性に対する抑圧と排除、男性と女性の不公平な関係に焦点を当て、市民社会やリベラル・デモクラシーに内在する不平等を解き明かす。政治学の土俵でフェミニスト・アプローチの可能性を探る。
序章
第一章 フェミニズムとジェンダー
1 第一波フェミニズム──女性の権利獲得運動
2 第二波フェミニズム──女性解放運動
3 多様化の時代のフェミニズム──「再分配」から「承認」へ
4 分析概念としてのジェンダー
結語
第二章 「性」の支配──女性はなぜ敗北したのか
1 支配システムとしての「家父長制」
2 家父長制と資本主義
3 家父長制の起源
4 家父長制の定着
結語
第三章 「労働」の支配──ジェンダー役割分業観念はいかに構想されたのか
1 西洋社会の女性と労働
2 ブルジョワ階級女性をめぐる労働と生活の変化
3 資本主義はなぜ「ジェンダー役割分業」を必要としたのか
4 ジェンダー役割分業の行方
結語
第四章 リベラリズムにおける排除と包摂──平等のディレンマ
1 フェミニストのシティズンシップをめぐる議論
2 古典的リベラリズムの排除の論理
3 ソーシャル・リベラリズムの二面性
4 普遍的平等の不平等
結語
第五章 リベラリズムにおける平等と差異──「積極的平等」をめぐる批判と反論
1 積極的平等政策
2 機会の平等、能力主義への挑戦
3 不名誉な烙印
4 派閥の台頭
5 本質主義への回帰
結語
第六章 ジェンダー不在の市民社会──フェミニストの批判
1 市民社会概念
2 市民社会と女性
3 フェミニストの市民社会(論)批判
結語
第七章 市民社会の再構成──「重なり合う、切れ目のない世界」の提案
1 アイリス・ヤングの市民社会モデル
2 ヤングの三層モデルの効果
3 ヤングの三層モデルの課題
4 重なり合う、切れ目のない世界
結語
第八章 リベラル・デモクラシーの不平等──議会における過少代表
1 リベラル・デモクラシーの不平等
2 政治社会の先住集団と後続集団
3 女性議員の多寡を左右する要件
結語
第九章 リベラル・デモクラシー再訪──議会代表と議会外代表
1 記述代表と実質代表
2 議会を越える女性の政治代表
3 議会外代表の強調が引き起こす問題
4 議会代表の潜在力
結語
終章
参照文献
あとがき
索引
衛藤 幹子[エトウ ミキコ]
法政大学法学部政治学科教授。政治学博士。専門はフェミニスト政治学。女性の政治的代表性とジェンダー・クオータに関する国際比較、ジェンダーと市民社会・民主主義、分析概念としての「ジェンダー」の有効性をテーマに研究。
主要業績:『ジェンダー・クオータ?世界の女性議員はなぜ増えたのか』(三浦まりとの共編、明石書店、2014年);“Women’s Movements in Japan: the Intersection between Everyday Life and Politics”, Japan Forum, Vol. 17: No. 3 (2005); “Women and Representation in Japan: The Causes of Political Inequality”, International Feminist Journal of Politics Vol. 12: No. 2 (2010); “Reframing Civil Society from Gender Perspectives: A Model of a Multi-layere…
内容説明
男性優位の主流政治学が見落としてきたものとはなにか。叛骨の精神が組み込まれたジェンダー概念を用い、リベラリズムとデモクラシーに内在する不平等を解き明かす。
目次
第1章 フェミニズムとジェンダー
第2章 「性」の支配―女性はなぜ敗北したのか
第3章 「労働」の支配―ジェンダー役割分業観念はいかに構想されたのか
第4章 リベラリズムにおける排除と包摂―平等のディレンマ
第5章 リベラリズムにおける平等と差異―「積極的平等」をめぐる批判と反論
第6章 ジェンダー不在の市民社会―フェミニストの批判
第7章 市民社会の再構想―「重なり合う、切れ目のない世界」の提案
第8章 リベラル・デモクラシーの不平等―議会における過少代表
第9章 リベラル・デモクラシー再訪―議会代表と議会外代表
著者等紹介
衛藤幹子[エトウミキコ]
法政大法学部政治学科教授。政治学博士。専門はフェミニスト政治学。女性の政治的代表性とジェンダー・クオータに関する国際比較、ジェンダーと市民社会・民主主義、分析概念としての「ジェンダー」の有効性をテーマに研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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