出版社内容情報
航空機が身近になるまで、外国に行くには船に乗るしかなく、庶民にとって最も一般的な海外旅行は移民だった。数か月にわたる船旅で、彼らはどのような体験をしたのか。はじめて見る異国の風景、感染症の発生や食事をめぐる暴動、船内学校や運動会、赤道祭など、従来の移民研究からこぼれ落ちた移民船の体験について、航海日記や多くの資料を用い、その文明史的意味を考察する。
内容説明
近代の奴隷船?移動する帝国?庶民の初の洋行?感染症からスキャンダルまで次々起こる三密空間。日本人が集団で最も遠くまで移動した航程を追う。
目次
序章 人びとはどのように海を渡ったのか?―移民船をめぐる課題群
第1章 明治元年のハワイ行き航海―佐久間米松の「日記」を読む
第2章 台湾への人流と物流―内台航路をめぐる人びと
第3章 明治末期の南米移民船―横山源之助の航路体験
第4章 日本郵船の南米東岸航路―田辺定「移民輸送日誌」を読む
第5章 大阪商船の最盛期南米航路―移民たちがつづる「航海日記」
第6章 可視化された世界一周航路―『海』グラビアにみる寄港地風景
第7章 二世少年少女たちの「祖国」への旅―古写真と回想にみる復航航海
第8章 近代保健衛生のフロンティア―移民名簿に表れた集団感染
終章 オランダ船でゆくブラジル―デジタル記念誌でたどる航路体験
著者等紹介
根川幸男[ネガワサチオ]
1963年大阪府生まれ。サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部大学院修士課程修了。博士(学術:総合研究大学院大学)。専門は移植民史。ブラジリア大学文学部准教授を経て、現在、国際日本文化研究センター特定研究員。同志社大学、滋賀県立大学、広島大学で兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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