出版社内容情報
植民地支配や戦争をめぐり、戦後80年近い今なお日韓で記憶のずれと対立が続いている。日本軍に所属した36万人以上の朝鮮人の詳細は、いまだ不明なことも多い。本書は、特攻死した陸軍朝鮮人特攻隊員が新聞や雑誌、映画、ポスター、慰霊碑などでどう扱われてきたのかを分析し、「軍神」「被害者」「裏切り者」といった多様なイメージを押しつけてきた両国の近現代を歴史社会学の視座から考察する。
内容説明
忘却され消費される物語。特攻のイメージはなぜ日韓で大きく異なるのか。日本人以上に日本人らしくふるまわざるを得なかった彼らの足跡をたどり、植民地支配と歴史認識を問いなおす。
目次
序章 「朝鮮人特攻隊員」という戦跡
第1章 帝国日本による朝鮮支配と戦時動員政策
第2章 植民地朝鮮における科学談論と朝鮮総督府の航空政策
第3章 朝鮮人特攻隊員の戦死と創られる「軍神」
第4章 戦後日韓両国における朝鮮人特攻隊員の忘却と正統性の構築
第5章 朝鮮人特攻隊員の再登場と知覧特攻基地戦没者慰霊祭
第6章 特攻の語り部・鳥濱トメと「アリラン特攻」物語の広がり
第7章 朝鮮人特攻隊員をめぐる多様な表象と歴史認識問題の激化
第8章 韓国における朝鮮人特攻隊員の受け入れ難さ
終章 朝鮮人特攻隊員の存在は日韓両国に何を語っているのか?
著者等紹介
権学俊[クオンハクジュン]
1972年韓国忠州市生まれ。立命館大学産業社会学部教授。横浜市立大学大学院国際文化研究科博士課程修了。博士(学術)。横浜市立大学国際文化学部共同研究員、日本学術振興会外国人特別研究員、立命館大学産業社会学部准教授を経て、現職。専門分野は歴史社会学、スポーツ政策論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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