出版社内容情報
「日本時代」とは何か。印象論的な「親日台湾」を乗り越え、台湾のいまを知るためには、とりわけ日本が深く関わった時代に正面から向き合う作業が避けて通れない。植民地統治は、当時の台湾の人々の生活とその戦後をどのように規定していったのか。本書は語られなかった、書かれなかった日本時代にフォーカスし、個人史と家族史を中心に新たな視座を提供する。
内容説明
「もう一つの日本時代」を提起することは、告発でもなく、糾弾でもない。戦後日台の民間交流の中で、築き上げてきた信頼関係があるからこそ、これからも過去の歴史に向き合い、理解を深めるという、本当の意味での和解が実現できると信じている(「はしがき」より)。台湾を知るための新しい社会史。
目次
第1章 理解と和解の間―「親日台湾」と歴史の記憶
第2章 読み書きと植民地―台湾の識字問題
第3章 植民地の法と慣習―台湾社会の女児取引をめぐる諸問題
第4章 近現代台湾女性の識字とエンパワーメント
第5章 植民地台湾の製帽業に見られるジェンダー・階層・帝国
第6章 帝国日本のなかの女性の移動―台湾を中心に
第7章 戦争記憶と植民地経験―在台日本人女性の日記から
第8章 ある台湾人少女の帝国後―嶺月の文学活動と脱植民地化
第9章 戦後の台湾農村における学歴と教職
著者等紹介
洪郁如[コウイクジョ]
台湾彰化県生まれ。台湾大学法学院政治学系卒業、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了、博士(学術)。現在、一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は台湾近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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