出版社内容情報
2019年にノーベル文学賞を受賞したオーストリアの作家ペーター・ハントケ。その全体像を見渡す本邦初の作品集の続巻(全3巻予定)。第2巻では、初期の言語実験的作風から、目立たぬものを言葉によって救い出し「物語」の中に保存する試みへと至った転換期である80年代の代表作を収録。スロヴェニアへの旅を描いた自伝的色彩が濃い長篇『反復』と、その「小さな後奏曲」と呼ばれる中篇『作家の午後』を併録。
内容説明
スロヴェニアへの旅を書き記した自伝的長篇『反復』、その「小さな後奏曲」と呼ばれる中篇『作家の午後』。目立たぬものを言葉によって救い出し「物語」の中に保存する試み。ノーベル文学賞受賞作家の転換期となった80年代の名作。物語よ、反復せよ。
著者等紹介
ハントケ,ペーター[ハントケ,ペーター] [Handke,Peter]
1942年、オーストリアのケルンテン州グリッフェンに、ドイツ人の父とスロヴェニア系の母とのあいだに生まれた。60年代、戦後西ドイツの文学を牽引してきた「グルッペ47」を批判、『観客罵倒』『カスパー』等の斬新で前衛的な作品で注目される。その後もつねに新たな表現を模索しながら長短篇の小説、劇、詩、映画脚本等の多彩なジャンルにわたって、現在に至るまできわめて多作かつ実験的な手法で描き、現代ドイツ語圏文学の最も重要な作家の一人となった
阿部卓也[アベタクヤ]
関西学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のこのこ a.k.a. TOKKY
1
『反復』は古典文学を思わせる感じで読むのに胆力が要されたが、胆力がいるからこそ一文が腑に落ちる瞬間というものがある。主人公の憧憬の対象となる『外国語』や『スロヴェニア』の描写を通して、読者の私もそもそもその辺りに関する知識が無いのも後押しして憧憬してしまう。これが反復ってことか。 『作家の午後』は一方でかなり読みやすい。アメリカから手紙を送って寄越したのはフィッツジェラルドを想定してるのかな。 両作品に共通してるのは気付いたらメルヘンちっくになっている点。内部の変化により、外部も変化する。2025/05/01
Ivansky
0
反復、20年前の、20歳の時に兄の足跡を辿る旅。スロベニアを身近に感じる。2025/01/01