内容説明
命懸けの十年を経て初めて人間としての成長がある。比叡山に1200年伝わる驚異の荒行を通して得た生きるヒント。
目次
第1章 「国宝」となる人材を育てる―十二年篭山行と伝教大師最澄(「十二年続ければ必ず身につくものがある」と教えた伝教大師;伝教大師に仕える侍真職になるための好相行 ほか)
第2章 私を行に向かわせたもの(徳を積むことに一生を費やしたい;伝教大師の『願文』に書かれた無常観に感銘する ほか)
第3章 死の縁に立った仏様―好相行に挑む(一日三千回の礼拝をする好相行;幻覚は何を教えてくれているのか ほか)
第4章 決死の十二年篭山行(侍真職の一日―毎日同じことを同じように;掃除ととらわれの心 ほか)
第5章 一隅を照らして生きる(若い人たちに日本の心を伝える;自分が変わること、それが人間関係改善の第一の方法 ほか)
著者等紹介
宮本祖豊[ミヤモトソホウ]
昭和35年北海道生まれ。59年出家得度。平成9年好相行満行。21年比叡山で最も厳しい修行の一つである十二年籠山行満行を果たす。現在は比叡山延暦寺円龍院住職、比叡山延暦寺居士林所長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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柔
17
筆者は湯川秀樹さんの「学問というのはやっていけばやっていくほど偏見が出てくる。それを打破しようと思ってさらに研究を進めていくのだ」この内容に疑問を感じ、出家。そして20年の荒業に入った。好相業は横になることも許されず、礼拝を続ける。2度のドクターストップ。母の死に目にも会えなかった。その内容は壮絶だった。人間は執着がなくなると力強さが出る。その中でも「一隅を照らす」自分の置かれたポジションでベストを尽くし、それに寄り周囲の人間を癒し、導く人間を作る。世の中とはかけ離れるが、厳しくも美しい覚悟であった? 2021/10/01
ルル
4
比叡山の修行、はじめて知りました。想像を絶しました。2015/08/05
epitaph3
3
2015年25冊目。覚悟の力は何か、というはっきりとした答えは書いていないし、それを知るために読んだわけでもない。著者の修行の様子から、自己の成長の繋がるものを拾い上げたくて、また単に修行者の人生について知りたいから読んだ。結局、自己を省みる、自己を知る、自分が変わる、一隅を照らす存在になるという結論にいたるのだが、「生きるか死ぬか、還俗するか」という選択肢しか残らない修行というものは、激しくなくとも、芯の強い力がないとできないのである。いまここを真剣に生きる。ああ、アドラーと一緒だ。2015/01/12
v54
1
「覚悟」とは、こういうことなのかと思いながらあっという間に読み終えました。表紙の写真も何か「オーラ」を感じます。2014/12/16
たふオラ
1
十年を越える山籠りの修行をなされた著者の言葉の数々。実際に自分がそのようなことをできるはずもないのだが、本を読むことによりその数億分の一程度のものではあるのでしょうが疑似体験をできるわけです。読書の価値を改めて認識した次第。2014/11/15