近代日本語の思想―翻訳文体成立事情

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  • サイズ B6判/ページ数 242p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588436109
  • NDC分類 810.4
  • Cコード C1081

出版社内容情報

日本語の文体は近代以後,翻訳によってつくられた??大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文の系譜を分析して日本語文の欠陥を摘発し,日本の思想の問題点を抉る。

内容説明

日本語の文体は近代以後、翻訳によってつくられた―大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文の系譜を分析して近代日本語文の欠陥を摘出するとともに、漱石、志賀直哉、谷崎などによる新文体創出の軌跡をたどりつつ、日本語文における論理と思想の問題点を抉り出す。新たに導入された主語や三人称、句読点、文末語などの使用経緯を思想形成過程として捉え直し、日本文化論に新視角を提示する。

目次

「主語」は翻訳でつくられた
「主語」はこうしてつくられた
小説における主語
「文」は近代につくられた
文末語もつくられた
日本語はつくられていく
「~は…である。」文の新しい意味
日本語の論理
A+B→Cの文化論
漢字の造語力と、意味の空しさ〔ほか〕

著者等紹介

柳父章[ヤナブアキラ]
1928年東京生まれ。東京大学教養学科卒業。翻訳論・比較文化論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

1959のコールマン

40
☆3.5。全体の印象は「まとまりに欠けている」だった。メインテーマは「近代日本語の構文は翻訳によって作られた」というものだろうが、そこに向けて全体の構造を作られているわけではない。本の真ん中以降、話題があっちこっちへ寄り道しだす。まあ、細かいネタの部分でかなり楽しめたのは否定できないが・・・。あとがきを見ると描き下ろしでは無く、あちらこちらで書いた文をまとめたものらしい(もちろん大幅に書き改めた、とは言っているが)。どおりで。むしろもっとメインテーマを掘り下げて欲しかった。2019/11/28

牛タン

0
近代日本語が英語・ドイツ語の翻訳を通して受けた影響。特に「AはBである」という構文は翻訳を通して新しく生まれたものだという指摘が面白かった2017/05/05

猫の毛

0
(前半は10月頭に読んだのであんまり覚えてないが。)翻訳の観点から近代日本語の特徴を示す本。主語論として三上章や大野晋、文法論として時枝誠記が好意的に紹介されてる。構文を主に論じて、文化論や哲学に及ぶ内容。読んでるときはなるほどと思うことが多かったが、読み終わってみると真新しさを感じないのと、全体に読みづらいのは、本書が別個の論文を集めたもので、一貫した主張らしいものを感じないからか。2012/11/20

アオヤギ

0
「日本語に主語はあるのか?」というお馴染みのテーマから、日本語の「主語」は西洋語の翻訳から生まれたことを導き、近代の日本語自体が西洋語の翻訳で生まれた、とまとめる本。「既知の『は』」「未知の『が』」というのはよく聞くけど、そこから漢字と西洋語の共通点を上げて、日本語と他言語の関わり方にまで広げていって面白い。2012/02/28

じんぶんのび太

0
「私はーである。」調などの今馴染みな日本語文体は近代の西洋語翻訳からつくられたという主旨。しかし、この本の面白い論点は、そうした翻訳文体は日本語あるいは日本人の思想形成を表す日本文化論でもあること。「ーはーである。」という文体は、既知(知識人)から未知(民衆)へと一方的に天下る演繹的な文体であり、先進西欧→明治知識人→民衆という天下りの論理である。西洋由来の未知の概念ー恋愛、自然、権利は〇〇である、と〝未知なままで〟受け取り、演繹的に理解•誤読していく。いわゆる古来日本の翻訳文化を近代日本語は体現している2020/09/27

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