出版社内容情報
映画が誕生して1世紀以上経つが、現在でもその保存のしくみは国によって大きく異なる。ロシアのように納品義務がある国もあれば、個人の収集が先行した日本、まったく法整備のない国までさまざまだ。本書は国内外の映画だけでなく、テレビ番組やホームビデオ、ネット配信、ブルーフィルムに至るまで、アーカイブの現状と課題を考究した国際的共同研究。未来へ記憶を手渡すにはもう一刻の猶予もない。
内容説明
遺したいのはフィルムだけではない。恐ろしい勢いで消失し続ける資料を収集し、保存し、復元して、次世代に記憶を引き継ぐには。国内外の研究者が多角的に考察する。
目次
映像アーカイブ・スタディーズが求められる理由
第1部 映像アーカイブの現状(哲学にとっての記録;フィルムの保存とデジタルへの移行;保存・利用を巡る法的課題)
第2部 国内を見つめる(収集活動から見た国立映画アーカイブの役割;地域映像アーカイブの可能性;撮影所システムとアーカイブ;大学博物館の生存戦略)
第3部 国外を眺める(韓国映像資料院 KOFAの活動;政府運営と民間が分離する中国;パキスタン映画の過去が作り出す未来;アメリカの映画保存教育;復元された映画を普及するヨーロッパのの映画祭;配信における価値の選択;旧ソ連・ロシアおける国家形態の変容と映像資料の保全;力における映画アーカイバル研究)
第4部 他メディアの場合(民放テレビ局の取り組み;テレビ番組保存体制の国際比較;アニメと中間素材;インターネットをめぐる諸問題と可能性)
第5部 周辺化されたシネマ(宙づりになる非市民の遺産;想起メディアとしてのホームムービー;違法とされるブルーフィルム)
研究から実践へ
著者等紹介
ワダ・マルシアーノ,ミツヨ[ワダマルシアーノ,ミツヨ] [Wada‐Marciano,Mitsuyo]
京都大学文学研究科教授(映画・メディア研究)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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