出版社内容情報
「土地に杭は打たれても心に杭は打たれない」。1950年代、東京の西部・北多摩地域で始まった、米軍立川基地の滑走路拡張計画への抵抗運動「砂川闘争」のスローガンとして、この言葉は知られる。本書は、警官隊との激しい衝突・流血・勝利を頂点とした従来の歴史解釈からはこぼれ落ちてきた存在や実践に初めて光をあて、砂川闘争の生きられた実相を描きなおす労作。現在と過去の対話の先に結ばれる「希望」の歴史。
【目次】
序章 砂川闘争研究への接近
1 本書の対象と問題意識
1‐1 教科書で描かれる砂川闘争
1‐2 「衝突中心史観」を乗りこえるために
1‐3 本書の問い
2 本書の方法と検討素材
2‐1 砂川闘争との出合い
2‐2 関係者との出会い
2‐3 問題への気づき
2‐4 砂川闘争を研究する?
2‐5 色川民衆史というヒント(あるいは壁)
2‐6 砂川闘争史料群との向き合い方
2‐7 色川の〈耳〉
2‐8 ポスト民衆史のための方法
2‐9 博論提出以降の研究状況
2‐10 本書で加筆した部分
2‐11 残された課題
3 先行研究と本書の位置
3‐1 支援者に着目した研究潮流
3‐2 地域/反対同盟の内部構成に照明を当てた研究潮流
3‐3 本書の位置
4 各章の概要
第1章 正当・正統性──地元農家と「絶対反対」の論理
はじめに
1 「絶対反対」と「不服従」の論理──一九五五年六月三日の陳述
1‐1 青木陳述にいたる過程
1‐2 青木陳述の検証と考察
2 「絶対反対」と「不服従」の形成過程
2‐1 一九四五年八月二日の「戦災」
2‐2 一九四五年秋・冬の「無断接収」
2‐3 一九四六年九月二一日の「土地賃貸借契約書」
3 「農民の念願」と「反対同盟の精神」──一九五五年九月二〇日の「陳述」
3‐1 第三回目の青木陳述にいたる過程
3‐2 青木陳述が開示したものの検証と考察
おわりに
第2章 介入──「基地問題文化人懇談会」高橋?一の「砂川問題」
はじめに
1 砂川と出合う(一九五五年九月一三日、骨格測量初日)
2 砂川を語る(一九五五年九月二五日、「歴史教育者協議会第七回大会」)
3 砂川の教師と悩む(一九五五年一〇月三一日、座談会「基地砂川の教育」)
4 「仲間」を集う(一九五五年一一月から一九五六年一〇月)
5 ふたたび砂川へ(一九五六年一〇月一日から一五日)
6 砂川をつなげる(一九五六年一二月、「流血の砂川」直後)
7 砂川を再想像する(一九五七年八月、「第三回原水爆禁止世界大会」)
おわりに<