出版社内容情報
その誕生から現在までを辿りつつ花札をその本来の輝き、自然を敬愛して共存する日本の文化という特性のうちに描いた初の本格的研究。
内容説明
花札をその本来の輝き、“自然を敬愛して共存する日本の文化”という特性のうちに描く。法制史をはじめ文学作品におよぶ膨大な文献を渉猟して花札=賭博という強固なイメージからの脱却をめざすとともに、絵柄の変遷などにまつわる謎を解明する。
目次
序章 花札史研究の課題と方法
第1章 花札の誕生―賭博文化が盛んな中で(江戸時代中期)
第2章 花札の普及―それは博奕用具だったのか(江戸時代後期~明治前期)
第3章 花札の自由化―花札解禁と大流行期の到来(明治中期)
第4章 花札の公認―大日本帝国における(明治後期~昭和前期)
第5章 花札の衰退と再興―花札文化に未来はあるか(昭和後期~平成期)
著者等紹介
江橋崇[エバシタカシ]
1942年に生まれる。1966年、東京大学法学部卒業。法政大学法学部教授(憲法学)を経て、同大学名誉教授。遊戯史学会副会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gamemaker_K
7
花札って、結構「映え」の要素高いと思うのよ。遊戯性も高い。廃れて欲しくない伝統遊戯だと心から思う。しかし、研究となると、確かにヤバいゾーンに足を突っ込むところも出てくるのか。どんな人にも黒歴史というものはあるわけで、いわゆる「表」の要素がどんどんデカくなっていってほしいのだがなあ。…小学生の頃、毎週土曜の夜はドリフを見ながら家族で花札をプレイすることが多かった。昭和は遠くなりにけり。2022/12/04
へんかんへん
5
読書は時間を越えて言葉が届きます2017/05/16
秋山真琴
4
「花札の二百五十年の歴史を全面的に再検討し、百年を超える偏見の歴史像と対決しなければならない。この作業に一書が必要ならば私がそれにあたろうと思う」歴史の闇に忘れ去られ、失われてしまった文化を再発掘する、紛うことなき労作だった。元々、花札は何となくデザインが優れていると思っていたのだけれど『八八』を遊ぶ機会があり、グッと関心が高まった。そんな折りに本書に出会えたことは、幸運以外の何物でもなかっただろう。そして本書を経て、カルタにも興味を覚えていて、いよいよ何かに嵌り込んでしまいそうで怖い。2015/01/04